月刊OLN2021年 1月号

新年あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いいたします。

ただ今1月4日の朝。
いつもよりちょっと遅れて月刊OLNを書いてます。

みなさんはどんな年末年始をお過ごしでしょうか?

井上家はというと。
東京で暮らす姉家族たちも帰省しないのでそれは静かで、
忘年会などの飲み会ももちろんないので体調を崩すこともなく、
年始の挨拶廻りも中止しているのでリラックスできる時間が多く、
ほどよくみんなでダラダラできてます。

そうはいってもそこは自営業、やることは山積みになってはいるので
ちょっと気になりながらも意識してダラッとしてます。

しのさんはとにかく寝ることがストレス発散になるタイプなので、
目覚ましをかけずに休んでます。
ぼくは読みたい本、観たい映画、動画、録りためた番組などを
一気に消化するつもりだったんですけど、あまりはかどってないです。
今のところ。笑

今回の月刊OLNは昨年末に起きた、ぼくの心の中の変化をまとめてみたいと思います。
個人的なことなので人に言う話ではないのですが、
でもOLNに興味をもっていただいている方にはご報告もしておきたいと思いまして。

あと最後に告知もさせてください。

役割分担

ぼくが桐生に戻ってきたのが今から約15年前。
父親が苦戦している姿を見て、力になりたいと思ったのが動機です。
地元が嫌いで出て行って、東京で楽しくやっていたバカで気楽な息子だったので、誰も予想していなかった展開でした。

父という神輿を担ぐためにいろんな仕事を覚えていきました。
織物のデザイン、設計、機械の調整、修理、原価計算の見直し、などなど。
仕事を覚えれば覚えただけ、父の仕事のやり方、考え方では会社の立て直しは
難しいと思うようになり、意見が対立することが増え、やがて毎日大声で言い争いをしていました。
本当に怒鳴り合いを毎日していました。
父には父の考えがあるし、でもぼくにも譲れない確固たる理由もあって。

結局はぼくが一歩も譲らなかったこともあり、父もぼくの言う事を受け入れるようになりました。

昔よりは業績が上向きになったとは言え、それでも状況としてはまだ厳しく、もっと根本的に変化させる必要がありました。
いつしか井清織物を守るには父が代表では無理なのでは?と考えるようになりました。

会社の代表が父である以上、最後の決定権は父にあるし、都合の悪いことを隠されてしまうこともたびたびあって、不完全燃焼感がずっとありました。

そんなこともあり、いろんなものをひっくるめてぼくが責任を負うので、井清織物の代表を変わって欲しいと伝えたのが今から約4年前。

そこからも山あり谷ありですが、どうにかこうにか現在に至ります。

父もこれまで何度となく、ぼくに腹を立てたり、意地になったりしました。
それはもう親子の縁を切りたくなるくらい険悪な関係になったこともあります。
でも今はもちろん大丈夫です。
お互いの役割を理解しています。

父の不機嫌の原因は分かっていました。
父にとって大事なのはお互いの意見の良し悪しではありません。
自分の意見が尊重されるか、自分の存在を持ち上げてもらえるかどうか、そこに不満があったのです。

あくまで自分が気持ちよくいられるかどうかの話で、井清織物として何が最良か?という話ではありませんでした。

当時は、なんでそんなつまらないことにこだわっているんだろう。
小さい男だな、と呆れていました。

ただ、長年任されてきた「主役の座」を譲るということがはなかなか難しいことはなんとなく理解していました。

戯曲で「欲望という名の電車」というのがありますが、まああんな感じです。
あの作品では少しボケてしまった老女のたわごとを中心に話が進みますが、ぼくが現実から学んだことは、あれは誰にでも起こりえる妄想だってことです。

周りから見えることと、自分で思い込んでいることのギャップは誰しもあります。周りの目と言ったって、見る人によってもその評価は様々です。

自分ではまだまだできる!と思っていても現実は厳しかったりします。

祖母もそうでした。

そういうのを見てきたので、人間ってみんなそうなんだろうと思います。

話を父に戻しますけど、そういうことって頭で分かっていても、口で言うほど簡単なものではありません。
今までずっと引っ張ってきたという自負もあるし、そういう誇りが自分を支えていたりもします。

必要とあればいつでもサポート側に回るよ、若い世代に任せるよ、と思っていても完全にはその役割に徹しきれなかったりします。

なんでこんな話をしているのかというと、
ぼくもそういう気持ちを持ってるって気づいたからです。
しのさんに対して。

じつは年末、ぼくはちょっとイライラしていました。
理由は以前の父と同じです。
仕事の場で自分の意見が大事にされないってことに腹が立っていたのです。

なんだろう、この面白くない気分は!って何度か考えてみました。
そしたら気づいたんです。
しのさんの今の気持ちはたぶん、かつてのぼくと同じなのかもって。

ぼくは自分の意見が通らないことでイラついているけど、
しのさんからしてみたら「こっちの方がその何十倍も深く考えてる!」って思ってるかもしれないって。
ああ、たぶんそうだなって。

より深く、何度も考えている人からすると、それほど考えてない人の提案ってすぐ見抜けるんですよね。
だってもうその提案レベルはすでに通って来てるから。

そのあたりの考えなんてすでに行ったり来たりしたうえで、それらより明らかに良い答えを導き出してるから、俯瞰的にも見えてて。

そこに気付いたのが昨年末で。
もう大晦日。
オーダー制作のお客さまとの打ち合わせのあとにようやく気付きました。

おかげでモヤモヤの原因と解決法がはっきりと分かりました。
よし、来年はぼくにしかできない部分にもっと焦点を合わせようって、年の瀬ギリギリで気持ちを切り替えることができてスッキリしたのでした。

「我に帰る」

昨年お仕事の縁で中田裕二さんというミュージシャンと知り合うことができました。
かつて椿屋四重奏というバンドを率いていた…と言うとご存知の方も多いかと思います。

(実はぼく、前職で彼らのライブやインタビューを撮影したことがあって、フロントマンである中田さんの歌やギターの腕前、そしてその頭脳の明晰さ(あと野心にも)に感動したり、驚いたり、嫉妬したりした経験があります。)

その中田さんにストリーミングでのライブ配信のご案内を頂きました。
感染防止の配慮を最大限にしながらの公演でしたが、その内容はとっても素晴らしかったです。
中田さん、本当にスターなんだなって。笑

ライブで披露した楽曲の中に「BACK TO MYSELF」というのがありまして、その曲を聴いているときにピーンって来たんです。
  あまり周りを見すぎるな。
  他人からの評価に依存するな。
  自分の世界に集中しろ。
っていう内容の曲なんですけど、あ、これだ!って。

我に帰る。
自分のすべきことに戻る。

ぼくのすべきことは自分の気分を優先させることではなくて、あくまでも生まれてくる織物が良くなることにだけ集中することだったんだって。

ぼくはいつの間にか、ぼくと対立していたかつての父と同じ行動をとっていたことに気付きました。
OLNや井清織物としてよりも自分の承認欲求を優先させようとしていたのかもしれません。

でも、そもそも。

今のぼくたちは仕事の範囲がいろいろ増えていく一方なので、
どこかのタイミングで自分でやることを止めたり、どちらかにバトンを渡したり、状況に応じて役割分担を頻繁に修正し続けてきました。

ぼくと妻、そして父。
それぞれ少しずつ成長して、できることが増える日々です。

もしかして今は、そういう大きな変化のタイミングなのかもしれません。
個々が日々それぞれ変化していくので、以前のやり方がこれからも最適ってことはないですよね。
あぶないですね、決めつけは。
昔から言います。
「君子三日会わざれば、なんとかかんとか」って。

改めてゼロから見直してみようと思います。
それぞれの得意、不得意。好き嫌い。
やるべきこと、やらなくていいこと。

そのバランスを上手にとって最適な役割分担が分かれば、父とぼくとでやった大げんかの日々を今回は繰り返さなくて済むかもしれないって。

そういえば中田さんがオルンショップに来てくれた時に
「やらないことを決めることが大切」って会話をしたなって思い出しました。
あの時は信玄餅食べながら、きな粉をこぼしながら、真面目に話しましたね。

ちなみに、
中田さんにとって理想に近いのが「海猫」という作品だとライブ中のMCでお話しされていました。
その曲はメッセージや刺激やノリの良さといったキャッチ―な作品ではなく、
何とも言えない不思議な感覚に陥る世界観が広がっていました。

音楽にしかできない表現だし、
中田さんにしか表現できない世界観です。

すごくいい曲でした。
ぼくも好きです。

自分の仕事との向き合い方、
周囲からのイメージとか、自分の理想とか。
得意、不得意、好き、嫌い。

今のいいバランスを見つけたいなって思ってます。

中田裕二さんのホームページ
http://yujinakada.com/

instagram:@nakada_yujician

ユカタショーケース2021

昨年はじめて参加させていただいた展示会です。
今年は1月の東京だけでなく、2月の京都もご一緒させていただけることになりました。
今回から一般の方も入場、購入できることになったのでご興味のある方は気楽に遊びに来てください。

2021年1月12日(火)~14日(木)
会場:プラザマーム
参加ブランド:
季織苑工房 粟野商事
トリエ
菱屋カレンブロッソ
Rumi Rock
ひでや工房
黒木織物
スラドキー
coten
OLN/井清織物
モリンガ

2021年2月1日(月)~3日(水)
会場:マスギギャラリーM 3階
参加ブランド:
Kimono Facrtory nono
トリエ
菱屋カレンブロッソ
Rumi Rock(1,2日の2日間のみ)
ひでや工房
黒木織物
OLN/井清織物

ユカタショーケース2021
伊香保くらし泊覧會

1月の東京と同じタイミングで加花の木越まりさんが中心となっている展示販売イベント「キモノマリアージュ」も開催されます。
こちらにも素敵なブランド、ショップがたくさん参加されているので両会場合わせて宜しくお願い致します!
どちらも最寄り駅は東京、人形町です。

伊香保くらし泊覧會

群馬を代表する温泉街のひとつ、伊香保(いかほ)温泉。
その伊香保の3つの旅館が協力して約2週間のイベントが開催されます。

期間中は県内の作家の作品が各旅館で楽しめ、購入できるほか、音楽ライブ、トークイベントなどが行われるようです。

OLNの作品も参加してます。
1月14日のトークイベントにはナガオカケンメイさんも登場するようです!

詳しくはこちら。
http://ikaho-kurashihaku.jp/

instagram:@ikahokurashihaku

素敵なブックレットも届きました。
伊香保くらし泊覧會
けっこうイベント盛りだくさんです。

おわりに

いつもこのブログはしのさんに内容をチェックしてもらっています。
なのでさっき読んでもらいました。
直接伝えることが難しいことを、このタイミングで伝えてみました。
「何を突然言い出したんだ?」と思ったらしいですが、オッケーをいただきました。笑

夫婦も親子も仕事もいろんなことが起きます。

いやあ、大変ですね、人生って。
なかなかおもしろいと思います。

それではみなさま、素敵な1月をお過ごしください。
では。

OLN月刊OLN 2020年12月号

月刊OLN2月号月刊OLN 2021年2月号

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