月刊OLN 2022年9月号

とんとご無沙汰しております。

月刊オルン9月号、ようやく書きました。

今月は「例の体験談」と「OLNの仕事のお話」と「友人の仕事のお話」をちょっとずつです。

では早速。

10日間の自粛生活

ことのはじまりは中学生の長男からでした。

夏休みの宿題のラストスパートを一緒にやりつつ遊んでいた近所の友だちがいまして、彼が2学期の始まりと同時に休んだとの知らせが。

するとその彼から「コロナになっちゃたよ!」と電話連絡。

井上家、ザワつきました。
長男、やばいぞ。

ぼくも翌週京都での展示会「キモノショーケース」を控えています。

感染、発症するわけにはいきません。

長男は自身の部屋で隔離生活。
食事を運んだり世話をする係はしのさん一人に限定。

気を使ってもらいました。

しかし長男、2日後に発症。
ノドの痛みから始まり、咳が出て、頭痛と発熱。
40℃近くまで上がっている様子。

展示会がせまるぼくも安全を期するため長女の部屋を借りて一人隔離生活。

しかし、長男発症からさらに2日後、風邪のひき始めのようにノドがいたくなると、翌日頭痛と発熱。
どうやら長女も同じ症状に。

みんなの看病をしているしのさんだけ発熱せず。

強っ。

さすが。

しかし、病院で診てもらうとしのさんも陽性との診断。

結局家族4人が芋づる式に感染。

同居している義母はセーフ。

母屋で暮らすぼくの父母もセーフ。

一番避けたかった高齢者の罹患だけは免れることができました。

全部で10日間の外出禁止の自粛生活。
しかも、仕事の忙しいこのタイミングで。

いろんなことを諦め、キャンセルの連絡を各所に。
ご迷惑をおかけした皆さん、本当にすみません。

そして、一番大変だったのはしのさんだったようです。

発熱はしていないものの、夜中にうなされる子供の面倒でまとまった睡眠はとれず。
感染を広げないように最大限の注意をしつつ家族の世話。
保健所とのやりとり、検温と酸素のアプリ入力、義母のデイサービス施設、子供の関係各所、それらをノドの痛みをこらえつつ電話での連絡。

お疲れさまでした。

以下、ぼくの10日間の状況です。

最初の発熱期間はひたすらベッドの上で休むだけ。
それと水分補給。
食欲は3日間くらいは全然なかった気がします。
たぶん38~39度くらいだったんじゃないかと思います。
長男から聞いてた通りの感じだなあ、って。

もうとにかく静かに寝るのが最善です。

でも頭やノドが痛かったりするので眠れない時間も多いです。

そんな辛い時はスマホでお笑い芸人のラジオを聴いて気を紛らわせます。
他にできることがないので、そうやって時間が過ぎるのをひたすら待ちます。
文字は読む気がまったくしません。

何もしないでボーっとするのが難しい自粛序盤はスマホのラジオが救世主でした。

そういえば鼻水もすごい出ました。
序盤は一日で一箱使い切った日も。

4,5日目くらいには回復の雰囲気が出てきました。
すると今度は「退屈だな…」って思うようになり、突然ネットフリックスを契約することにしました。
(まだ文字は読みたくない時期。)

以前、友だちから勧められたので「ブレイキング・バッド」というシリーズ物のドラマを視聴。
(今振り返ると本は読みたくないけど、「字幕」を読んでますね。)

ちょっと激しい内容ですが、面白いことは面白かったです。
しかし。
それにしても長い。

一話が終わると自動的に次の一話が再生されるのですが、
次第に「このドラマ、いったい何話で終わるんだ?」という疑問の方が大きくなり、
検索してみたらなんとシーズン5まであるとのこと。

ぼくはまだシーズン2。

あきらめました。

そしてずっと気になっていた「浅草キッド」を視聴。
開始5分で大粒の涙。
最後までいい映画でした。

で、続けて「全裸監督」のシーズン1と2。
こちらも噂どおり大変面白かったです。

この頃には体調も落ち着いてきて、パッと見た目はもう普通です。
普通にちょっと元気のない人、くらいの感じです。
家族ともたまにしゃべったりして。

で、ベッドの上で寝ころびながら動画を観つつ、
しのさんに「今日の夕飯なにー?」って聞いたときに言われました。

「自分のことは自分でやってください」

…ですよね。

それで長男と二人でペペロンチーノを作ることに。
ニンニクたっぷりの。

そこで気が付きました。

「匂いが全くしない。」

おまけに味覚もあまり感じません。

調子にのって発泡酒も飲んでみましたが(痛風持ちなので)、
炭酸水以上に無味無臭な炭酸水でした。

自粛期間の後半ともなるとだいぶ体調は戻ってきまして、積読(つんどく)状態の本を読破し続けたり、名画を観返したりして、ダラダラと過ごしておりました。

そんなこんなで社会から隔離された10日間も幕を閉じ、無事に仕事に復帰できることとなりました。

あえてSNSなどは一切見ないようにしていたのですが、それは良かったみたいです。

なんとも不思議で新鮮な気持ちでの社会復帰となりました。

しかし、10日間完全のオフというのは初体験です。

久しぶりに足を踏み入れた織物工場の作業はなかなか大変で、「こんなに複雑で細かくて面倒くさいことをやってたんだ」と
ちょっと驚きです。

そして、ぼくらがいない間も淡々と機を織っていた父、ちょっと後光が差していました。

「無事是(これ)名馬なり」という古い言葉がありますが、本当にそうだなって感じています。

以前は仕事のことで父に対して色々と文句もありましたが、最近はその「身体の健康さ」に対して敬意を感じる機会が多いです。

普段、父との雑談はぼくが避けているのでほとんどありませんが、むしろそれくらいの方がいい距離感なのかもしれません。

そのおかげで感染しなかった訳ですし。

後光、差してます。
サンキュー。

それと最後に。
玄関ドアへの差し入れや、優しいメッセージの数々、本当にありがとうございました。

感謝!

誰かの役に立つ仕事

ぼくたちは自分たちのブランドであるOLNのアイテムを作るだけでなく、依頼を受けた取引先ブランドの商品も作っています。

ぼくら産地の存在を明かさない方が魅力的になる場合もありますが、あえて紹介していただける場合もあります。

今回はぼくらの作品ではないけれど、ぼくたちの仕事としてちょっとご紹介いたします。

こちらは綿とウールのへこ帯。
とってもポップなスタイルですね。
こちらは絹の八寸名古屋帯。
シンプルでほっこりするスタイリング、これも素敵です。

どちらもお客さまの要望をお聞きしてデザインや織物の設計に入ったのですが、
今回はどの織物もOLNの過去の作品をベースにアイデアを膨らませたものでした。

昔は他社の作品をサンプルに「これをもっと安く作れない?」とか、
漠然と「何か変わったものを作ってよ」といった要望が多かったように思います。
あるいはOLNの織物とは無縁のテイストだったり。

そういった依頼はぼくらにとっては逆に難しく…。

最近はOLNの作品を気に入ってくれた方が依頼してくれるようになってきたので、
打合せも楽しいし、いろんな発想も出るし、挑戦もしやすいし。

こういう環境になってきたこともOLNをやってきて良かったなと思えることですね。

縁の下の力持ちや、歯車の一つだって、互いに敬意を持てれば「やりがい」は充分感じるものです。

おわりに

そんなわけで今月はこのへんでお別れです。

明日から東京カジュアル着物展のため出張となります。
木曜日は準備、金曜日は今まで通りのBtoBのために。
土曜日は小売屋さんとの同伴であれば一般消費者も入れるという初の試みの日。

京都の展示会を欠席した分、少しでも東京で取り返せたらと思っていますがどうなることか。

頑張ってきまーす。

それではまた来月。

みなさんもご自愛くださいね。

月刊OLN 2022年8月号

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