月刊OLN 2022年8月号

毎日お暑うございます。

前回の月刊OLNからほぼ工場作業だけに没頭しておりまして、この一か月を振り返っても他の記憶があまりありません。

ほんと不思議です。

それが暑さのせいなのか、年齢によるものなのか、あるいはそういう性格なのかは分かりません。

もしかしたらその全部なのかもしれません。

なんにせよ、そんなこともどうでもよくなるほどのホットな毎日です。

一方、しのさんは東京出張で頑張ってました。

なので今回はしのさんからの報告から始めます。

新宿タカシマヤ「ニッポンID “4th week 洋服ときどき着物”」7月20-26日

まずはお越しいただいた皆さん、一緒に出展していただいた各ブランドの皆さん、そして高島屋スタッフの皆さん、本当にありがとうございました。

おかげさまで今年も自分たちの成長をちょっと感じることができることができました。

OLNのSNSやブログを見て会場まで来てくれた方が多くいらっしゃったり、リピーターさんにもお会いできたり。

それと助っ人として参加してくれた上野ちとせさん(@chitose_kimono)のおかげも大きいです。

しのさんが不在の日でも安心してお任せできました。

ちとせさん、本当にありがとうございました!

こういうイベントの報告の時、ぼくらには大きなニュースはありません。でも、毎度毎度「確かな手応え」みたいのはあって。しのさんからの報告を聞くたびにそこは二人で実感しています。

ちなみに今年のニッポンID、イベントそのものもすごく好評だったらしいです。

4週間という長丁場なのにすごいことだと思います。

———-

「そういえばこんな嬉しいこともあった」と、これもしのさんからの報告。

ニッポンIDにお越しいただいた、とある同世代のお客さま。

聞けばその方、コロナになってから着物を着始めたらしいとのこと。

OLNの麻の八寸「ひこうき雲」の小豆色を購入していただき、お仕立て方法を伺いました。

そのお客さまの指示は「平仕立て」でした。(※お腹周りの部分を半分に閉じないで、自分で幅を調整できる仕立て方のこと)

理由は「ハンガーにかけて帯を眺めたいから」。

…この言葉、嬉しい!泣

ぼくらはOLNをスタートさせる前から「これからの織物業」を自分たちなりに考えていくつかのルールというかコンセプトに則ってものづくりをしてきました。

そのルールのひとつが「帯だから価値があるという甘えた考えではなく、”一枚のテキスタイルとして価値が成立するものを帯の形状にして織る”」というのがありました。

なので

お客さんから「織物を鑑賞したい」と言ってもらえたことが、本当に嬉しいんです。

「ひこうき雲」は余計な味付けをほとんどしていない織物。ほぼ素材の魅力。

ニッポンIDの会場で「ひこうき雲の半巾帯(小豆色)」をオンラインで購入する予定だったお客様へ。

お名前や連絡先をお聞きしていなくてすみません。今その在庫が一本だけありまして、それはそのお客様用にこちらで保管してあります。そのためオンラインでは在庫が無い状態になっています。

もしこの月刊オルンを読んでいる方の中で「あ、それ私です!」という方がいらっしゃいましたらご連絡ください。

もちろん「今は結構です、購入予定はありません」でも全然気にしなくて大丈夫です。ただ連絡だけ頂けると一般販売できるので、嬉しいな…と。

すみまん、特定のお客さまだけに向けた業務連絡でした。

———————

そう、それとニッポンIDではこんな人も来てくれました。

ぼくが20代を過ごしたのは東京・阿佐ヶ谷(住んでいたのは高円寺)。

なぜ阿佐ヶ谷なのかというと、地下鉄の南阿佐谷駅すぐの場所にcool dread barというレゲエクラブがあって、そのお店が好き過ぎて近くに引っ越していたからです。

そのお店のオーナー兼DJをやっているGIN(ギン)さんも新宿タカシマヤまで買い物に来てくれました。

十何年振りに電話越しで聞くGINさんの声は相変わらずカッコよく、「今、しのさんから織物の説明をしてもらったよ。一生勉強し続けられる仕事なんだな。良かったなヨッチ。頑張ってるじゃん!」などと褒めてもらったりして。

本当ありがたいです。

頑張って良かった。

いやあ、大人になるっていうのもいいもんですね。

手しごとの気配

オルンのものづくりの時、ぼくたちが(特にしのさんが)昔からこだわっていることがあります。

それは「手づくり感」を残したい、ということです。

もともと自動織機で織る織物はいかに同じものをミスなく量産できるか、という目的のためにあります。

でもその方向を優先すると慣れていて、扱いやすい素材や工程に縛られることになり、作品が過去の焼き増しやマイナーチェンジのものばかりになりがちです。

そして、「あえて」の糸のほつれや、糸や織りの不規則さは排除されることになります。

その方が検品しやすいからです。

でもしのさんは「そこはできる限り無視して、ニュアンスや想いが伝わるような”手づくり感”を残そう」とずっと考えてきました。

その想いに共感してくれる取引先は当初ほとんどなかったのですが、そこは腹をくくって曲げずにずっとやっています。

おかげさまで今となってはそのニュアンスを求めてくれるお客様、取引先も増えてきてくれました。

その考えの延長線でいくつも作品が生まれてきました。

綿の半巾帯「en coton(エン・コトン)」なんかは、その代表例です。

ちなみにぼくの大好きなはミュージシャンににジョルジ・ベンというブラジルのレジェンドがいます。

ブラジルっぽい曲から、メロウ、サンバ、踊れるファンキーな曲調まで幅広い楽曲があります。

ぼくが好きな点は彼のいつまで経っても「いい意味で」洗練されすぎないところにあります。(といってもぼくが持ってるアルバムやベスト盤では、ということ)

逆に、デビューアルバムは良かったのに、成功していいスタジオでレコーディングとかするようになったら途端につまらなく感じてしまうケースもあります。上質なんだけど面白味がないというか。

なんだか響かないんです。

個人的には、って話ですけど。

たぶんしのさんもアパレルデザイナー時代にそんなことを感じていたんだろうなって、理解しています。

その辺の方向性やさじ加減の微妙なニュアンスは、二人でよく話し合ってます。

展示会出展情報

8月末から展示会が始まります。
小売店の皆さま、おまちしております。

キモノショーケース@京都
8/31 13:00-17:00
9/1 10:00-17:00
9/2 10:00-17:00
京都府京都市下京区新町綾小路東入善長寺143 マスギビル3階

東京カジュアル着物展
9/16(金) 9:30-17:30
9/17(土) 9:30-17:00
東京都中央区日本橋浜町1-1-12 プラザANSビル
プラザマーム2F
※こちらは小売店様が同伴している場合に限り一般のお客様も入場できます。

おわりに

桐生にあるぼくたちの織物工場とショップですが、今、暇を見つけては少しずつ環境を整えています。

草むしりをしたり、駐車場を広げたり、緑を足したり。

補助金を申請しているものなどは、通らなかったらしばらくお預けですけど。

それでも自力でやれることは進めています。

ちなみに次の大きな作業はフェンスづくりです。

「ものづくりの喜び」と「対価を得るための仕事」とのバランスがようやく取れてきたので、この先も楽しく作業に集中できるような環境を少しずつ理想に近づけていけたらな、という感じです。

今月も最後までありがとうございました。

暑さに気を付けて素敵な8月をお過ごしください。

ではまた。

月刊OLN 2022年7月号

月刊OLN 2022年9月号

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