月刊OLN 2020年2月号

みなさんこんにちは。
いかがお過ごしでしょうか?
四方を山に囲まれたここ桐生市は例年どおり風の音がビューーウーー!っと鳴り響いてます。
(寒さがいちばん厳しい時期にしては、やっぱり暖冬感がありますけど。)

このあたりではからっ風といいますが、 冬の強い風特有の、ぼくはあの音が好きではありません。
なんだか心細くなります。子供の頃からそう思ってます。
体の芯というか、心の芯が冷えて干からびていくような。

しかし、同時に日が伸びたことを感じられるのもこの季節で。
夕方仕事が終わるころ、「あれ?まだ空が少し明るい」って思うあの感じが好きです。つい最近までこの時間はもう真っ暗だったのに、っていう。
まだまだ冬の真っ最中だけど、あと少しの我慢したらもう春だぞ!っていう希望を抱くあの感じです。

「春を待つよろこび」をはっきり意識できるようになったのは桐生に帰ってきてからです。
なにがあってもなくっても、とりあえず春は来るんです。
その当たり前がどれだけありがたいことか。
そして桜が咲いたらお酒を飲んで明るい陽射しをのんきに楽しみます。
桜がなくてもお酒は一年中たのしいですけどね。
もちろん。

さて、話かわって明日は第1土曜日なのでオルンショップのオープン日です。
今回はワークショップをやってみようかと思います。
「小さな織物アクセサリー作り」です。

昨年の3月に銀座伊東屋さんのイベント会場で初挑戦した小さな織物ワークショップでしたが、 その時は太番手のコットンやウールやアクリルなどを素材にしてコースター作りをやりました。
ふつうの平織りではつまらないのでは?と考え、桐生らしく紋織りにも挑戦できるコースも用意しました。
いろんな方々に参加していただいた結果、難しいことをやるよりもシンプルに「織る」ことに集中できれば楽しいと知ったのは大発見でした。

あれから少しずつ進化を続けて(試行錯誤とも言います)、ついに昨年末のギャラリーアイズさんでオルンのワークショップで一つの完成形にたどり着きました。

それが「小さな織物アクセサリー作り」です。

uendaiの狩野典子ちゃんに作ってもらったオリジナルの織り機。
ピアノが弾ける方、弾いてください!※細かい調律は気にしない。
試行錯誤の途中のモノもふくめて、こんな感じのモノが出来上がります。
いびつになっても、それも可愛いものです。

幅3㎝×長さ10㎝くらいの織物を絹糸で織って、それをキーホルダーやブローチピンにします。
色の並べ方によって作る人のオリジナルの作品が生み出されます。
そしてこのワークショップのいいところは不器用な人でもそれなりのものになるところです。
これはホントです。
作った本人さんが言っていましたから。ね。

タテ糸を張ったり、はじめの玉止めとか、そういう面倒な部分は僕がやっておきます。

小学生くらいなら子供でも大丈夫です。
むしろ「やってみたい」と思った子供はみんなできます。
親御さんが心配するような子も意外とできます。
子供たちの集中力は見ていて感動することが多いです。

場所はオルンショップの前の小部屋です。
(大昔、従業員さんのために食事を作っていた場所らしいです。)
普段は麻ふきんとか、洗いにかけたストールとかを干してるトコです。
どんな感じになるのか楽しみです。
誰も来ないと寂しいのでだれか参加してみてください。(笑)

費用は1500円です。
時間は1時間から2時間。
おしゃべりしながらだったり、いろいろ迷ったたりで、できあがる時間は人によってちがいます。

左手ののれんの奥のガラスの引き戸がショップ入り口。
で、正面に見えるなぞの小部屋でワークショップします。

いつもは平日しかオープンしていないので、週末しかお越しいただけない方はぜひこのタイミングで。

dialogueはポスターが素敵でした。好きな感じです。

それと2月の26日~29日は京都府が主催する工芸の展示販売会イベント、「KOUGEI NOW 2020 Kyoto Crafts Exhibition “DIALOGUE”」に参加してきます。
京都の工芸作家さんがメインの展示会ですがOLNはkanto11のメンバーとしての出展です。
(関東11都県から一人ずつ選出されて 勉強会を重ねてきたグループです。)
ホテルカンラ京都というモダンな雰囲気の京都のホテルを使った珍しい趣向の展示会です。
各部屋がそれぞれのブースになっていて、来場者は一部屋ずつ見て回るらしいです。

今回のkanto11からの参加メンバーは3名。
山梨代表・詫間宝石彫刻の詫間さん、千葉県代表・つまみかんざし彩野の藤井彩野さんと群馬県代表・オルン井上です。
オルンは工芸という感じではないのですが、詫間さんと彩野さんの存在のおかげで参加できたみたいです。
(二人からは「手織り?」っていじられたのそのせいか?)

2日目の夕方からは一般の方も入場料(1000円)を払えば会場に入れるらしく、もし気に入った作品があれば直接購入できるそうです。
無料で入れる招待状もいただいてあるので当日来られそうな人がいたら連絡ください。プレゼントします。
京都府、予算あっていいな。

作り手と業者と消費者、工芸とそうでないもの。
それぞれの境界線はしっかりと残しつつも、
視界を遮る壁は取り払われて、行き来が自由な感じは今っぽいです。
守ってくれるものがなくなった代わりに、新しい挑戦や学びも自由です。
形骸化したルールや価値観はどんどん打ち砕かれて、そのおかげでそれぞれにとって一番大事なところは何なのかを考え抜く必要があります。
いいことだと思います。
たぶんそれはずっと続いていくんだと思います。

ちがごろ。
「桐生って面白いね」と市外、県外の方からよく言われます。
前なら社交辞令だと思って聞き流していました。
でも今はほんとうにそうだなって思います。。
ぼくもかつてのように「この街が好きで帰ってきた訳じゃない」と
遠くを眺めてへそを曲げていられるような雰囲気ではなくなりました。

昨日も「リップル洋品店さん行きましたよ。いい雰囲気ですね!」
ふふふさん、行ってみました。ボードゲームに熱くなりました!」とお客さんから聞きました。
ある日には、わびさびやさん、ごずごんさんで食事をしたあとウチに来てくれる方もいて。
Purvayers(パーベイヤーズ)さん、000(トリプルオー)さん、コンポジションさんにコルミオさん。桐生の街を彩るショップ、アパレル、飲食、いろんな作り手、お店が存在感をバンバンだしてます。
さらに最近は民泊の「鶴、舞う」さんだったり、liberty artsの小川みーくんが撮影スタジオを始めたり!
人口量に比べて話題の量が、多すぎる!
(リンク張るの疲れた!)
濃いな、この街。

それがありがたいことなんだってことに気付きました。最近。

先日おとなりの足利市の地場産業振興センターで台東区デザイナーズビレッジの村長さんこと鈴木淳さんの講演がありました。
(この講演があることをSNSで教えてくれたのも「上毛かるたせんべい」でおなじみのコピーライター星野さん。)
そこでものづくりブランドのブランディングについてのお話しの中で、
「デザビレにいると、SNSでの情報発信は仕事として毎日やって当たり前という空気があります。」
という旨をおっしゃっていました。
デザビレって刺激と向上心と学びの強い環境なんだなと改めて知る一方、けっこう桐生の街も同じようだな、とも思いました。

街全体でデザビレというか。
他の土地と比較したわけではないですけど。

もしかしたら今、どこでもそうなんですかね。

「どこでも」ではない気がします。

この街にはいわゆる伝統を守る大御所が大勢います。
世代的には60~70くらいの。そしてその下の世代の若い大御所も。
ちゃんとそういう存在がありつつも、今は景気が悪くなったおげでいろんなところに空きができてきて。
サッカーでいうところのスペース、が。
そこには20代の若者からかつての若者までがみんな対等な感じで競い合って、励ましあって。

あ、もしかしたらスペースが空いたように見えたのはこの街の状況ではなくて、インターネットの発達で日本中がひとつの地域にとらえることができるからなのかもしれません。

んー、やっぱりよくわからないです。(笑)

単純にぼくが経験を重ねてきたからそう思えるのか?
オルンをはじめて独自の動きをしたから景色が違って見えるのか?

ただ、身近なところから、リアルに感じている存在から刺激を受けたり学んだりできるっていうのは貴重なことなんだなっていうのははっきり分かります。

突然ですが、ここでひとつ宣言します。

「わたし、鬼になります。」

ついにその覚悟ができました。
いままで「ぼくにはそういうのムリ」と思っていたのですが、鬼、やらせていただきます。
節分の日。
長女の通う保育園で。

その保育園(かつて自分も通った)では毎年保護者が鬼に扮装して何かをしているらしいです。
しかもそれが親だとはバレないように、きちんと。
その前準備としてすでにいろんな伏線を仕込んでいるそうです。先生が。

水たまりができた場所に鬼の足跡があったり、
歩いて行ける近さにある山には鬼が住んでいるという話をかれこれ何年もかけて伝えてきたり。
おかげで長女は鬼とか獅子舞とか、赤いああゆうキャラを見るとすごく怯えて泣きます。
それはもう一発で。

なので節分の豆まきの日は休みたいなどと言ってくれてます。
え?来てよ。

ぼくも子供のころ非常に弱虫だったのでよく分かります。
人見知りは昔からだし、人前にでて何かやるとかとんでもなく恥ずかしいタイプでした。

しかも大人になってから(織物の仕事にのめり込んだ頃から)少し性格がこじれてしまいまして、人付き合いが苦手になってしまいました。

しかし、昨年くらいから少し回復基調にありまして、その成果といいますか、
保育園の夏祭りの「お父さん太鼓」にはじめて参加することができました。
※岐阜県の中山太鼓をベースにしています。
知らないお父さんたちと一緒に、しかも人前で披露するという二重苦があったのでずっと避けてきたのですが、太鼓を叩いてみたいという衝動を抑えきれず長女が卒園してしまう前のラストチャンスの昨年夏、はじめてチャレンジしてみました。

黒Tシャツがお父さん軍団。正面で背中を向けてるのがぼくです。
ここの保育園の基本ルールは裸足。冬場じゃなければ外でも。
それと、音楽はCDとか使わずに人間が太鼓を叩くかピアノを弾くか、笛を吹くのもルール。
子供のことをすべての中心に考えてくれている、のどかな保育園。

周りのパパはほとんどがすごく若くて驚きましたけど。
ほんとうに楽しかったです。
ちょっと部活っぽかったです。

そして鬼の依頼が来た今回、ちょっとだけ考えたけどすぐにやるって決めました。
少しずつこじれてた性格が、からまってた性格がほどけてきてる気がします。

だからさ、お父さん頑張って鬼やるから、君も頑張って保育園休まずに行って、鬼に豆を投げてくれよ!
がんばろうぜ!
おたがいに!

1月に参加したyukata show case。
トリエの寺本さんはじめ、出展者のみなさま、来場してくれたバイヤー、プレスの皆さまお世話になりました。
その初日の夜、参加者で集まって決起集会が行われました。
隣の席にはルミロックの柴埼ルミさん。
ぼくが「性格がこじれちゃってるみたいなんですけど、大丈夫ですか?」みたいなことを言ったらこう返してくれました。
「こじれてない人には人は集まらないよ。だから大丈夫。」(←いい意味ですよね?)
え?そうなんですか!
そういうもんなんですか!

そういうなぐさめ、助かります。
その言葉、信じて生きていきます。

そんなわけで仕事の話よりも鬼とか春とかの話の方がスラスラ書けた月刊OLN2月号でした。
まだまだ厳しい寒さは続きます。
最後まで読んで頂いたみなさま、くれぐれもご自愛くださいませ。

それではよい2月をお過ごしください!
では。

月刊OLN 2020年1月号

オルンショップ入り口の葉桜。月刊OLN 2020年3月号

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