<はじめに>
毎日あっという間に過ぎていきます。
でもそれは振り返った時に感じるもので。
このブログを書くためにスケジュール帳を確認すると、
一か月前の出来事なんてはるか昔に感じられます。
そしてこの先の仕事の予定を見るとピリッと緊張感が走ります。
今ある織物をベースに図案を新たにデザインするもの。
糸の種類や織り方の設計から始まる新しい織物の開発。
織物には直接関係ないけど、仕事環境として大切な手入れ、修繕。
織物にモロに関係する機械の調整、などなど。
OLNを始めてからというもの、新しいことへのチャレンジが急速に増えています。
(それまでだって毎日が挑戦と発見と苦戦の日々でしたが…。)
(会社の代表になったことで事務的なこともさらに増えていますが。)
今までと形の違う仕事に取り組んだり、
産地組合主催ではない、全国規模の展示会に出てみたり、
異業種の方々と一緒にクラフトフェアに参加したり、
これまで以上に新たな挑戦が目白押しです。
上手くいくことと、いかないこと。
その割合は正直のところ分かりません。
上手くいかないことの方がはるかに多いのかもしれませんが、
そういうことは本能的に記憶から消しているのかもしれません。
ストイックになりすぎず、時には楽観的になることも大切です。
ぼくたちは喜びや幸せに近づくことのできる織物を作りたいのですから。
工業と工芸とのあいだ。
適量生産の適量とは?を探る旅。
ものづくり、をしたあとを学ぶ日々。
創作の自由と日々の暮らしを守るために、新たな領域を一から勉強しています。
そんな今年の4月は夏物の帯やバッグ、ストールをお取引先に納品しつつ。
終盤になってようやくOLNのオリジナルの製作にも手を付けはじめ、
土日は様々なところに出展してOLNの販売と告知。
そんな感じでした。
ワクワクもドキドキもごちゃまぜのOLNの日々です。
言える範囲のことをご報告しています。
お時間があれば読んでみてください。
(メモ:「ドキドキ」という言葉って、
ネガティブな意味で使ってもポップな雰囲気になるのでいいと思う。)
<4/13、14日「creema in 飯能」>
飯能(はんのう)市は桐生から高速を使って車で約2時間。
metsa(メッツァ)という北欧をイメージした場所があります。
そこでcreema主催のクラフトフェアに参加してきました。
気持ちの半分は観光気分でどんな場所なんだろうとワクワクしながら
行ってきたのですが、想像以上に素敵な場所でした。
イベント会場は大きな湖に面していて、きれいに整備された大きな木や花壇は気持ちよく、
遠くに見える小さな山々もまたおだやかで。
それが北欧的なのか、フィンランド的なのか、現地に行ったことがないので分かりませんが、 心の中でイメージしている「北欧感」と「日本の施設の快適さ」のいいとこ取りでした。
飯能に住む方々や、遠方からメッツァに遊びに来たお客様に接客をした二日間。
そんななか、嬉しいゲストもありました。
OLNの縫製スタッフでもあるネギちゃん家族が遊びに来てくれたり、
その話を聞いて昔からの友人家族たちが遊びに来てくれたり。
もう5~6年くらい会っていないのに、わざわざ来てくれたんです!
ストールを気に入ってくれてお買い物をしてくれたことがもちろん一番嬉しいのだけれど、 ぼくたちを応援してくれている感じが本当に暖かくて優しくて嬉しかったのです。
ここ何年かは特に仕事のことで必死で、自分たちのことだけで一所懸命なのに、
不義理をしているであろうぼくたちに会いに来てくれて。
最後はみんなで記念撮影しながら爆笑でお別れしました。
また、大手呉服店のMさんも平日が忙しく打ち合わせの時間が取れないからと
休日を利用してわざわざ飯能まで来てくれて、秋物の打ち合わせができたのもホント、ありがたい話で。
きっといい帯にします!Mさん。
初日は様子が分からないので夫婦だけで飯能に来て、
2日目は慣れたところで二人の子供も連れて会場に入りました。
なかなかどこかへ連れて行ってあげられないけど、
まあ家族仲良く、楽しく過ごせたからいいでしょ。ね!
そんな訳で飯能のメッツァは家族や友人とならもちろんですが、
一人でゆっくり過ごすにもすごくいい場所でしたよ。
駐車場は事前の予約が必要なので、そこだけ注意してくださいね。
<4/22 ポートランドより。Caleb Sayanさん。>
上毛かるたせんべいの星野さんが繋いでくれた縁。
通訳はセンバタヤ主宰のテキスタイルデザイナー畠山陽子ちゃん、と豪華。
ん、結婚された今は上久保陽子なのかな?
約4万5千種類のテキスタイルのアーカイブをデジタル化してデザイナー向けのサービスをしているとのこと。
そのうち日本のテキスタイルがかなり大きな割合を占めていて、特に大島紬に力を入れているそうです。あと銘仙もかな。
この仕事を始めたCalebのお母さんはかつてNYでデザイナーをしていて、マイルス・デイビスやジミヘンの服を作っていたそうです!
出てくる名前がビッグすぎて口が開いちゃったまま陽子ちゃんと目が合いました。
でもCalebさんにとっては普通の事なので、当たり前のように家族の話をしてくれました。その語り口はすごく穏やかで、誠実そのもの。
またポートランドで「テキスタイルマンス」というテキスタイルのイベントを取りまとめたりもしているそう。
東京や桐生でもやりたいな、と言っていました。
Calebさんとぼくは共通点が多く、お互いにシンパシーを感じたように思います。
・家業(ファミリービジネスって言ってました。)の魅力と苦労を知っている。
・二人の年齢、お互いの子供の年齢がだいたい近い。
・テキスタイルが大事なのだけれど、そのテキスタイルが生まれてきた環境、ストーリーを大切にしたい。
・ビッグビジネスよりもグッドなビジネスが望ましい。
きっとぼくが思っているよりもすごいことをしている人なのだろうけど、
そういうアピールは全然なくて、言動のシンプルさが好きでした。
出会えて嬉しかったです。
CalebさんのHPはこちらです。
https://textilehive.com/
普通にドリス・ヴァン・ノッテンがオフィスに来ていたりしてます。
<今年もOLNと髙島屋のコラボアイテムが生まれました。>
当初は1年限定の予定でしたが、3年目までやらせていただいて本当に光栄です。
OLNの名前で呉服の仕事はしないとなんとなく決めていたぼくたちに
前に進む勇気ときっかけを与えてくれたのが髙島屋とのコラボでした。
何度も展示会場や桐生まで来ていただいて、OLNの理解を深めていただいた上でのお仕事でした。
OLN(しのさん)がディレクションするカラーリングを前面に出して
カジュアルな着物、浴衣の売り場に新しい提案をしたいとのことでした。
それも「井清織物」ではなく「OLN」として。
帯はもちろん、バッグも毎年さまざまな挑戦をさせて頂きました。
そうやっていつもOLNの新たな力を引き出してくれた伊藤さん、南條さん、ありがとうございました。
おかげで今年も新たなテキスタイルやアイテムが生まれています。
そしていつも親切に対応していただいた髙島屋商品部スタッフの皆さま、ありがとうございました。
これからも少しずつ成長していきますので、引き続きよろしくお願い致します!
https://www.takashimaya.co.jp/store/special/yukata/
5月末には横浜店でのポップアップが一週間。お世話になります!
<はじめてOLNオリジナルの浴衣を作ります>
今年の新たなチャレンジはオリジナル浴衣です。
捺染は同じ境野町で鯉のぼりや手ぬぐいを作っている平賢さんにお願いしました。
最近は「kiryu tenugui」ブランドで有名です。
いろんなイベントや雑貨店で大人気なので、桐生の方はご存知かと思います。
納得のいくデザインになるまで時間がかかってしまい、入稿が予定よりもかなり遅れちゃってすみません。
てっぺいさん。
こちらのアイテムは6/1~の「わびさびやOLN展」にはなんとか間に合いそうです。
お楽しみに!
<そうなると履物も作りたくて→OLNオリジナル雪駄>
そういう訳で雪駄もオリジナルを作ります。
お願いしたのは浅草の老舗「堀越」さん。
堀越さんとは東京で初めて開催された着物サローネに出展されていた時、
こちらから挨拶をさせていただきました。
センスのいい職人さんがいるもんだな、と。
あれから何年たったのでしょうか。
こうやって仕事でつながれる日がようやく来たんだな、と。
こちらもわびさびやさんでお披露目の予定です。
「ドゥーブルメゾン」
スタイリスト大森伃佑子さんが提案する着物と洋服のブランド「ドゥーブルメゾン」。
昨年、桐生に来た時にぼくたちの織物を色々と見ながら
素材感と、色と、着用アレンジの自由さなどを確認しながら決めた麻の帯。
『草木染めのメゾンクチュール』(4/18(木)~5/6(月))
というイベントに合わせたディスプレイも素敵です。
この素敵な草木染を担当されている「宝島染工」さん。
http://www.doublemaison.com/letter/20190404-16738/
やはり素敵。
イベントの詳細はこちら
http://www.doublemaison.com/letter/20190412-16778
いつもは洋服だけを買いに来るお客様がこの帯を購入されました、
と嬉しい連絡も先日頂きました。
衣と人との清々しい出会い。
以前「全国つくりべの会」から配布された、大森さんの講演会の内容がテキスト化されたものを読みました。
そこにあったのはファッション、スタイリングに真摯に向き合う大森さんの覚悟のようなものの歴史でした。
その冊子を読んでから、いつか一緒に仕事をしたいと思ってきたので嬉しい一歩です。
その冊子の中に”雑誌「オリーブ」の時のコンセプトは「私は、泣かない」だった”とありました。
(記憶で書いているので間違っているかもしれませんが)
そういう「少女がもつ弱さと強さ」は普遍的な美しさに感じられ、ぼくは好きです。
たまにそのイメージを思い出す時があります。
<4/26 桐生織物協同組合 内地青年部 卒業式>
桐生産地のこれからのリーダーである泉織物の泉太郎さんが卒業されました。
ずっとお世話になりっぱなしの太郎さん。
料亭(!)での卒業式&OB招待の飲み会は終始なごやかな雰囲気で会は進みました。
いよいよ、これで現在会員は5名。
来年まきしまさんが卒業すると残り4名。
最後のわずか4名はとりあえず一致団結して「卒業なし」という
半永久的なミッションを背負い続けることが決まっています。
ますます厳しさが増していくことが予想される繊維業界ですが、
なんとか頑張っていこう!そんな夜でした。
太郎さんにお世話になった恩って、すごく大きいもので、
どうやったら少しずつでも返せるのだろうかと思ってしまいます。
最近は仕事で関わることも減ってきて。
今は上手く言葉で表現できないし、形にも表せてないけれど、長い目で見てください。
生意気なぼくですが、これからもよろしくお願い致します!
<織機の枯渇部品、技術者、機料品店>
かねてから業界の課題とされてきた織機のあれやこれやにまつわる諸問題。
使命感のある各産地のリーダーたちが知恵を出し合い解決に近づこうという動きがあります。
実現するにはいろんなハードルが予想されるのですが、
全国規模で解決するにはいい時代が来ていると思っています。
<OLN shop>
ありがたいことに帯を見たいというお客様が増えています。
もし「この着物に合わせる帯を探している」というものがありましたら、
仕立てた時に余った反物の端切れや、着物の色柄が分かるスマホの画像などを用意してもらえると
帯との相性が分かりやすく便利です。
もちろん着物をお持ちになっていただくのが一番まちがいないです。
まずは遠慮せずに申し付けてください。
一緒に帯合わせを考えましょう!
また、先日は弓道をされている方がお見えになりました。
「 織物雑貨を見に来てみたら帯も売ってるんですね。」
ということで袴の下に締める半巾帯(コットンスラブ)を購入されていきました。
実際はいわゆる半巾帯よりも短い形状らしく、このままの長さで使うか、短く仕立て直すか悩みどころでした。
最終的には「もし短く詰める必要があれば後日またお越しください」ということでお別れしました。
まだまだ知らないことだらけです。
こんな感じで、ショップをはじめたおかげでぼくたち自身も多くのことを学んでいるところです。
<5月の予定>
・5/12(日)は富岡のおかって市場で開かれる「第18回 動楽市」に出展。
・5/22~ 横浜髙島屋でのpop up。
お近くの方はぜひ遊びに来て下さいませ。
<さいごに>
GW直前のこと。
納期に間に合わせるため縫製スタッフのネギちゃんも土日返上。
連日残業。
商品の発送日はヤマト急便も佐川急便も集荷の時間を過ぎてしまうため
高速道路を使ってヤマト急便の最終中継地点の前橋の方まで車に積んで無事出荷。
返りの車の中で夫婦二人で笑顔(苦笑い?)でハイタッチ。
かつてと比べてやるべきことが増えたけど、充実感はそれ以上に増えています。
何よりも、すべてが自分次第ということがどれだけ幸せなことか。
ブラックボックスを取り除いてきたおかげでやるべきことも明確です。
最後まで読んでいただいてありがとうございました。
懲りずにまた宜しくお願い致します。
ではまた~。