月刊OLN 2022年11月号

みなさんいかがお過ごしでしょうか。

きものサローネも無事に終わり、通常運転の仕事に戻ったところで月刊OLN11月号を書いています。

今日の桐生は日差しがしっかりあるので日なたは暖かいです。

けど、工場の中は例外で、冬の記憶がじわじわと思い出さされます。はい、それなりに冷え込んでます。

なので指先だけ出ている手袋をはめて、手がかじかんで動きが悪くならないように対策をしております。

今はそんな状況でレピア織機の前に簡易テーブルを用意して、iPad でパチパチとテキストを打っている訳です。

さて、近況ですが、サローネの直前はさすがにモノづくりの追い込み期間になるので余裕はありませんでしたが、それより前の数週間、いろんな人に会っていました。

これまでお世話になった人や、ある時期仕事で一緒になることが多かった異業種の人たち、これから一緒に仕事をしてほしいと思っている人たち、いろいろです。それと進行中の企画の打合せもありましたね。(みんな桐生近隣の方ばかりですけど、年齢も職業もノリもバラバラです。見事なほどに。)

どの人も会いたいなーって願ってた人ばかりで、そういう人たちと一緒にお酒を飲んで時間を過ごせる時っていうのは本当に楽しいです。

そんなこんなで慌ただしくも充実した日々を過ごしております。

11月5-6日「きものサローネ2022」@東京国際フォーラム

前回大盛況だった通称”サローネ“。

今年は会場の広さが1,5倍。

出展ブランドの数も100社から140社(たしか)へと大幅増。

それでも通路のスペースがかなり広く確保されたため、前回のような歩くのも困難な縁日状態にならなかったように思います。 

ただ、個人的にはやっぱりブースの間口が狭いために色々とご不便をおかけしてしまっているのが課題かな。と。

※先に言っておきますが、こういう時、記録用に写真を撮っていない事がよくあり、今回も写真なしでお届けします。お許しくださいませ。

来年はもっと大きいブース(お値段もそれなりですが)を申し込むか、アイテム数を減らすか、ちょっと工夫が必要かなと思っています。

嬉しいことに、普段からオルンの帯を愛用してくださってる方にもたくさん声をかけていただきました。

こういうのって嬉しいです。本当に。

いい仕事ですよね。

そして、なんと、モデルの川原亜矢子さん(!)も私たちのブースに立ちよって下さり、驚ました。

お美しかったです。

しかも、しのさんと何か会話を交わしていました。

本当にこういう形(8頭身とかシルエットとか、雰囲気も)の人間って存在しているんだなあって、横でボーっと見とれながら思っていました。

どうやらぼくの存在には気付いてもらえなかったようです。

———-

今回はサローネが開催されるギリギリまで粘って作ったアイテムが2つありました。

一つはgrainの「ミチ」という八寸帯

織り柄そのものは既に完成していますが、新たな配色に挑戦しました。

OLNの織物づくりは、初めから配色を決めてタテ糸、ヨコ糸を準備するパターンの時と、タテ糸は汎用性のある色を使って織りのテストを繰り返しながらヨコ糸の組み合わせを探るパターンの時と、両方あります。

今回新作として発表した配色のいくつかは、ぼくらとしては初めて表現できたものになりました。

サローネでは早速、その新作をお買い求めいただけたので、本当に嬉しかったです。

grain「ミチ」

———-

サローネ開催までギリギリ粘ったもう一つは帯揚げストールの「dune(デューン)」です。

duneは以前に一度完成させていたものがあったのですが、今年、在庫がなくなったタイミングでヨコ糸と織り柄を変更&リニューアルすることにしました。

OLNの帯は糸の毛羽や節など、不規則な繊維の素材感を活かしたものが多く、いわゆる「シルクの高級感溢れる光沢」というよりはマットで天然的な柔らかい雰囲気が特徴になっています。

そのため、着物もそれに合うように紬、木綿、麻、ウールなどの織りの素材との相性がよくて。

となると、帯揚げも同じ世界観のほうがいいのですが、いざ探そうとなると、ちりめん素材のものはあるけれど…、というのが、あるあるです。

“new”duneに関しては柄づくり(=紋紙データの作成)にかなり時間がかかってしまいました。

この織物のイメージは風で線状の模様が現れた砂丘や、波で模様が生まれた海岸の砂浜です。

帯揚げなので実際に見える部分としは大きくはないのですが、それでもやっぱり大事です。ましてやストールとして使った場合も考えると、素材感とさりげない印象とのバランスが大切で。

なんやかんやと納得がいくまで、結局、紋紙を作り直すこと実に5回(!)。

最後に出来上がった紋紙でようやく、シンプルで、さりげなく、どこかストーリーを感じられるものに落ち着きました。

ーーーーー

そういえばサローネでお隣のブースだった京都の「吉三郎(きちさぶろう)」さん(栗山工房という屋号としても有名な染め工房さんです)がYouTubeをやっていて、それが昨年から話題になっていたのでお話しを聞かせていただきました。

動画撮影に便利なさまざまなアプリがスマホの中に入っていまして、まあ、驚きました。

こんなに勉強してるんだなー、と。

そしてこんなに巨匠(と呼ばれていました)なのに、新しいことにも挑戦して。

職人さんとしても一流なのに、その仕事を伝えるための作業もやっぱり頑張ってるんだなと。

そういえば吉三郎さんのYouTubeで、しのさんもインタビューもしていただきました。いつかアップされる日がくるのでしょうか。

そんなこともあって、動画はじめます。笑

でもどんな内容がいいのかはまだ全然ピンと来てません。

一人で考えてもいい答えが出こなそうなので、ルミロックの柴崎ルミさん(こちらもすごい方ですが)に相談してみました。

ルミさんとぼくは似た部分や、共通した価値観がいくつかあって、その上でぼくよりいろんなことに関しての知見が広く深く、先に行っているのでたまに相談させて頂いています。

(でもルミさんが先に行きすぎてて理解するのに1年かかったりすることもありますが。)

で、ルミさんには12月に桐生に遊びに来てもらう約束をしました。

相談している様子を動画に撮ってみようかと思っています。

お楽しみに。

———-

それと、ぼくが当日着ていた着物を3人の別々の人に褒められました。

(過去に作った織物をしのさんにミシンで縫ってもらったものです。評判がいいけど、同じ糸が手に入らなくて…。)

実はOLNの着物を今年こそは作る予定だったけど、来年こそ絶対に作るぞ!と強く思っています。とりあえず来年に持ち越しです。

ちなみにデューンの試作をしているときに、新しいテキスタイルに発展しそうな”種”を発見。予想もしていなかったけど、案外すごくアリな気がしています。この生地で作る着物も良さそうです。

実際に織ってみるまでは、なんとも言えないんですけどね。

久々の再会

パルシステムという通販の会社があります。

OLNを立ち上げて間も無いころに丁寧に取り上げていただいて、その後も関係が続いています。

今回はパルシステムさん用に新作を作ったのですが、その新作についてや、普段、シルクに対してどう考えているのか、などをzoom取材でしていただきました。

そのことをどうして月刊で報告しているのかというと、今回のライターさんと会うのは(オンラインだけど)実に7年振りで、この7年の間に起きた僕らの変化、成長を伝えることができて、それがすごく嬉しかったからです。

7年前のあの頃はまだまだ気持ちが戦闘中で。

今日はどうなる?明日は大丈夫か?と、本当に毎日緊張の日々でした。

まだOLN shopはもちろんなくて、だから小売もしていないし、ぼくの髪型はチョンマゲだし、OLNは生活雑貨限定で、帯は井清織物として作って、そのほとんどを問屋さんに卸していた頃です。

ぼくはその頃「目つきが怖い」とよく言われていた頃です。

必死だっただけなんですけどね。

そんな過去もありつつ。

おかげで今、仕事は楽しいし、お取引をさせていただいている方々はいい人ばっかりだし、会社としても経営状態はだいぶ健全になってきたし、織物づくりの環境は改善されてるし、織物そのものもどんどん良くなっている(個人的な見解です)んですよ。という報告をすることができました。

そして綺麗ごとだけで織物業を成立させてやる、という思いも行動も変わってませんよ。って。

自分たちが成長したことを、こんな風に一緒に喜んでもらえるっていうのは、ほんとありがたい話です。

11月18-27日 菱屋カレンブロッソ@東京ミッドタウン OLN展

たびたびお世話になっている菱屋カレンブロッソさんで、OLN展を開催していただきます。

今回は久しぶりに東京ミッドタウン。

ぼくたちは工場での作業があるので在廊できませんが、知識もセンスも頼れて、人間的にも信頼できる中山店長さんをはじめ、販売スタッフの方々も素敵な方たちばかりです。

ぜひお越しくださいませ。

エフェクチュエーション

先月からぼくの中での流行りワードです。

エフィクチュエーション。

ぼくなりに簡単にまとめると「自分一人で目標を達成しようとすると、選択肢は自分が積み重ねたものの中からしか選べない。でも自分とは違う特徴を持つ人に協力してもらうことで、目標達成の選択肢は協力してもらった人たちの特徴の分だけ広がる。いろんなデザインの布を剥ぎ合わせたパッチワーク、つまりクレイジーキルトのようなイメージ。」みたいな感じです。

※クレイジーキルトの画像は著作権が発生しそうなので、ここにアップできませんが、興味があったらぜひ検索してみてください。ああ、こういう意味ねって、イメージが伝わります。

もともと人見知りのため、人と距離を置きたがるぼくですが、この新たな概念が不思議な勇気と行動力を与えてくれています。

考えてみれば、行動としては普通のことです。

でもあえて仕事の仕方、考え方の”基本ルール”として捉えているところが、ぼくにとっては新鮮でした。

じつは今、ぼくには新しい目標がありまして。まだまだ漠然としているんですけど。

海外のギャラリーから声をかけてもらえるような作品を作りたい、という。

具体的には何にも決まっていません。

何年かかるのかもイメージできてません。

でもシャトル織機を使って(たぶんですけど)、ジャカードも使った(これもたぶんですけど)織物で、っていうのはイメージしてます。

たぶんその時はOLNの着物と帯で、二人ともビシッと決めてるはずです。

…こんなことは恥ずかしくて大っぴらには言えませんよ。ふつう。

でもこの、いろんな人が読む訳ではない月刊OLNでならいいかなと。

でもいつか実現した時には、ちょっとだけでも一緒に喜んでください。

おわりに

さてさて、今月も最後までお読みいただきありがとうございました。

ここ数日、「人が変化する」ってことを考えてます。

うまくいかなかった時のことを考えると、つい立ち止まってしまいます。

でも素晴らしい変化を繰り返す人たちを目撃すると、勇気をもらいます。

その才能と努力とセンス、そして何より勇気が好きです。

ぼくにはそのいずれも大して持ってないんですけど、「あきらめなくて粘り強い」っていう特徴だけは自覚しています。

これからも引き続き、地道にやっていきます。

みなさんも風邪などひかぬよう、地道にいきましょう。

幸せって、「昨日より今日の方がちょっとだけいい」時に感じるらしいです。

では。

月刊OLN 2022年10月号

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