月刊OLN2021年11月号

…11月に入って2週目が終わろうとしています。
すっかり遅くなってしまいました、今月の月刊OLN。

織物業者としていろいろと忙しくやっていまして、
身体も頭もそっちに集中させていただいてました。

寝る間を惜しんで書く、という選択肢もあるかもしれませんが
ちゃんと睡眠をとらないと日中の仕事の質がガクンと落ちるタイプです。ぼくは。

体調万全じゃないと乗り切れない仕事が続いていたので
(免疫力も下げたくないですし)
健康第一を優先して、ようやく月半ばでの発行ということになりました。

これが本当の雑誌だったらぼくクビですね。

でも出版社も編集長も記者もぼくが好きでやっているだけなので
なにも問題ありません。

いたって平和です。

で。

みなさんはいかがお過ごしですか?

コロナ渦も少しずつ落ち着きいろんなイベントごとが復活してきています。

オルンにとっても大きなイベントが2週続きました。
一つは東京での「きものサローネ」。
もう一つは山梨、富士吉田での「ハタオリマチフェスティバル」。
今月号はその報告とわびさびやさんで現在開催中の「OLN展 2021 AW」について、です。

「きものサローネ2021」@東京国際フォーラム2021年10月23日~24日

おかげさまですごく盛り上がりました!!
実に。

驚くほどに。

来場されたお客さんも多かったし、実際にお買物も活発に行われていたし、
なにより雰囲気が盛り上がってました。

時間帯によっては激込みの夏祭りのように大渋滞が続いたりしてました。
(でも徹底したコロナ対策でクラスターは発生せず、です。)

今から2年前、ほぼ初挑戦となったサローネ。
そこで得た教訓。
「あの場に立つ前に、いかに自分たちを知ってもらっているかが重要なのでは?」

じゃあ今すぐできることを、ということで桐生に帰ってきた翌朝、工場で写真を撮りました。

あの時しのさんのiphoneで撮った写真はすぐにホームページで使ったり、OLNを紹介するパネルに印刷したり、後々、平本さんにデザインをお願いしたOLNのリーフレットの表紙でも使われています。

それとインスタも頑張ろうと決心したのもあの頃です。
人間的に安定感があるしのさんがOLN公式アカウントで情報をしっかりと。
自分の世界にこもりがちなぼくの個人アカウントでは、
オルンの織物が生まれる背景や日々の心象風景を地道に、
それぞれの役割で続けてきました。

インスタに関してはしのさんが才能を開花させてくれました。

はじめは苦手に感じていた写真と文章。
毎日続けていくうちに少しずつ上手になり、
皆さんからの楽しいコメントも増えていき、
いつのまにかフォロワーが1000人を超えていきました。

それが仕事に直接良い影響を与えてくれているという実感は
いろんなところで感じています。

今回もそうです。

SNSなどでオルンのことを知っていてくれた人たちが
何人もサローネのOLNブースに訪れてくれました。

2年間信じてやってきたことが本当に実を結んでくれました。

また、この2年間はいろんな展示会に参加してきたので、呉服業界で仲良くなった人たちが本当に増えました。

いつのまにか、こういう場でアウェイ感を感じずに済むようになってきました。

そもそも呉服業界以外のクラフトフェアや販売会、もちろんオルンショップの接客経験も積み重ねてきたので
「自分たちで作ったものを自分たちで伝える」という行為にも慣れて来たようです。
(正確に言うと、販売員経験のあるしのさんはもともと上手で、ぼくが少しずつ慣れてきたっていう感じです。)

ちなみにサローネの期間中、ぼくは写真をほとんど撮っていません。
後述するハタフェスでも同様です。

理由を考えてみました。
きっと「そういう気持ちになれないから」だろうと思います。

販売するときは販売のことだけ。

ものづくりのときはものづくりのことだけしか考えられなくなってしまう性格みたいです。

日々の仕事中に写真を撮っているのは、目の前に何かインスピレーションの元になりそうな「美しいもの」や「気になるもの」があるからです。ものづくりと同じ分野です。そういうものをインスタに上げてます。

販売会のような機会はまだまだ緊張するので、接客、販売、そのことにしか集中できないモードになっているみたいです。

なので今回はしのさんの写真を多く借りてます。

国際フォーラムのエントランスホール。
今から設営へ向かうの図。
OLNのブースの様子。
トルソーには今秋の新作heccoの「mori」。
会場俯瞰図。
この写真の時ははかなり空いている時間。
こういう時に他のブースに行って出展者の人たちと雑談したり情報交換したり。
奥にみえるステージでファッションショーが行われました。
これらの各通路が人で埋め尽くされたのだから本当にすごいことです。
じぶんたちの写真はやっぱり撮ってなくて、正直屋さんが撮ってくれた写真をいただきました。
左にいらっしゃるのが正直屋さんの奥様。撮影は息子さん。
社長さん(ご主人)にはこの日初対面でした。
皆さん陽気でとても仲良しなご家族。
こういう場でお取引先さまから注文を頂いたりもするので、展示会の側面もあり。

着物に興味がない世間一般では誰も関心をもたないであろう、ぼくたちの世界。

でも実際に呉服業界の端っこにいる身としては
センスが良くて仕事の仕方も素晴らしい、かなりいい感じの人たちを何人も知っているし
素敵なキモノユーザーとも出会っています。

普通に洋服も好きだし、
別にアバンギャルドな着こなしがしたいわけじゃない。
そういう価値観を共有できる人たち、
互いに成長し合える人たちと一緒にこれからもがんばっていきたいです。

呉服業界の中のほんの一握りの僕らですが、きちんと進化を積み重ねていて健全な人間たちなんじゃないかなって気がしてます。

それとサローネの運営の皆さん、すさまじく色んな大変なことがあったと想像できますが、本当にありがとうございました。運営会社が入っていないでこれだけのことができるって、ある意味奇跡です。そして献身的なボランティアスタッフの皆さんもありがとうございました!

ハタオリマチフェスティバル @山梨県富士吉田市 2021年10月30日~31日

きものサローネの余韻が残る中、翌週末には山梨県の富士吉田市で行われたハタオリマチフェスティバルに行ってきました。

しばらく週末の仕事が続いていて子供たちと一緒にいられる時間が取れていなかったので、この時は家族4人で一緒にでかけることにしました。(普段だったら宿泊費のことがあって難しいのですが、コロナのおかげでどこも安く、出張仕事をする立場としては逆に助かってたりします。)

「おれはwi-fiがあれば生きていけるから」という小6の長男は家で留守番をお願いしてももう心配ないのですが、小2の長女はまだまだ親と一緒にいたい年頃のようです。実際、富士吉田に来てからも長女はぼくたちの展示販売を手伝ってくれたり、お隣ブースの松川レピヤンさんの娘さんと一緒に遊んであげたりして、楽しんでいたようです。一方の長男はといえば2日目には宿泊先のホテルから一歩も出ずに自由時間を満喫していたそうです。なにせ宿泊先がフリーwifiのため、同級生とオンラインでゲームをずっとしていたらしく「最高に幸せ」だったらしいです。笑

人ってそれぞれ楽しい時間とか、幸せに感じることとかって違うもんですね。

子供らの意見を聞くたびにいつも考えさせられてます。

世間一般の意見とか、自分の経験を押し付けすぎないようにしています。

で、本題に戻ってハタオリマチフェスティバル、通称ハタフェス。
こちらも結論を先に言うと最高でした。

ほんの数日の期間限定だとは分かっていますが、街中が夢のような雰囲気でした。
(正確には街の一部分なのですが、それでも!)

といってもぼくが会場全体を巡ったのは最終日の最後の30分だけで、それ以外はずっとオルンのブースに居た感じです。(途中でホームセンターで照明器具を買いに行ったり、トークイベントに出たりはしましたが。)

それでも当日朝の設営前後の街の雰囲気とか、ハタフェスのビジュアルイメージが街のあちらこちらで目に入ってくる感じとか、駐車場や販売会場などで働く若くておしゃれなスタッフさんの優しくてオープンな雰囲気とか、期間中に知り合ったさまざまな作り手さんとか、それと初日の夜に夫婦で出かけた夜の飲み屋街とか(!)、こんな街があるんだなあと幸せな気分になれました。

こういった ほっこりしつつもオシャレなグラフィックがいたるところに。
高速を降りて会場に向かう途中にもこんな感じで。
楽しい気分になってきますよね。そりゃ。

今回どうして参加させてもらえたかっていうと、桐生のふふふの大小さん(桐生の本町通りにある「ふふふ」っていうアトリエ兼ショップ兼ボードゲームカフェのオーナーの名前が大小(たいしょう)さんといいます)の呼びかけで「ふふふ」「000(トリプルオー)」「桐染」「OLN」の4ブランドが出展する話になったようです。

じつは今年度、富士吉田からの呼びかけで桐生と産地交流が行われていて、桐生側の取りまとめ役に大小さんが任命されていたのです。

2日目には富士吉田と桐生の対談形式でのトークイベントも行われました。
緊張したのと寒かったのとで、すごく疲れました。笑
ぼくらの会場はエリアE。
やっぱり自分たちの写真を撮ってなかったので、ハタフェスのインスタから拝借。
たぶんハタフェスで八寸名古屋帯が売れたのはOLNが初めてだと思います。
ふふふのRioさんの周りに子供たちが溢れているの図。
ふふふさんは新宿伊勢丹でもポップアップ中とのことで超多忙スケジュール。
この写真は最後の晩に開かれたコンサートのステージ。
終了後に撮影。
ここの出身、フジファブリックの「若者のすべて」のカバーもあり、フィナーレに相応しい感動的な時間。
松川レピヤンさんに勧められてなかったら味わえなかった。
桐生でこういうことをやったとしたら一体どんな音楽がしっくりくるんだろうと悩むのも楽しい。

「富士吉田」という言葉では知っていた繊維産地でしたが、やっぱり実際に来てみて感じたことは本当に膨大。
そして濃厚。

富士吉田の良さを知るたびに桐生との違いを感じます。そのことが自分たちでは気付いていない桐生の魅力の発見にもつながるようです。(別に桐生をどうこうしたいっていうのはないですけど。)

あらためて桐生って個性的だな、というかクセが強いなって。
身近にミュージシャンとか、ギャング的な人とか、芸術家的な人とか、気難しいおじさんとか、自然派志向族とか。
ほんとうにいろいろ。
そういう良くも悪くも特徴があるっていうのは、結局それが強みになるんだなって感じてます。

ちなみに今年の4月に撮影会で仲良くなったカメラマンの志鎌康平さん。
ハタフェスでも毎年撮影しているらしく、半年ぶりの再開。
予想外に早めの再会を果たしせて、また楽しい時間を一緒にすごしました。

わびさびや「OLN展 2021 AW」

そして始まったばかりのわびさびやさんでのOLN展。

今年の秋冬の新作が並んでいます。

ほんとに出来立てホヤホヤの商品もあったりして、楽しいスペースになってます。

こちらがDM。
ハッパブランケットショールは大判でフワフワ。
ウール素材のLOOPも新作。
帯の新作も並びます。
定番アイテムと新作とがありますが、やがてどれもが定番となるように目指しています。

わびさびやさんは仕事の上での目標みたいに感じています。
年齢がちょっと上というのもぼくにとっては丁度いいのかも知れません。

作っているものは違うけど、参考にするべきものは本当に多くて、実際に店主の欽さんから教えてもらっていることも沢山あって、その中には金言的な実践アドバイスもあります。

ぼくらが夜中、クラブで酔っ払って遊んでいる時、同じ場所でわびさびやのジェラードを手売りしていた欽さん。

今では全国からの注文で毎日大忙しで大人気です。

そういうお手本が身近にいるというのも幸せです。

わびさびやさんにお越しの際はOLN展も楽しんでいってくださいね。

おわりに

最近は人との出会いが怖くなくなったようです。というかこれまでの数年間、人のことが怖かったみたいです。

それはたぶん、仕事の状況が厳しすぎて余裕がまったくなかったからなんだなって、最近気づけるようになりました。

こういうことを人に話せるようになったってことが、ぼくなりの成長かなとも思っています。

おかげでいろんないい人にも出会えています。

この一か月の中では富士吉田の「槙田商店」の槙田洋一さんがすごく印象的でした。
ちょっと挨拶をさせて頂いたり、トークイベントの様子を拝聴させて頂いただけですが、誠実さと覚悟がこちらに伝わってきました。ぼくのように突然家業を手伝おうと思い立った人間と違って、ずっとブレずに行動してきた人ならではの雰囲気なのでしょうか。すごい立派な会社なのに偉ぶる素振りも全くなくて。

若いのに素晴らしいです。

そんな槙田商店さんの素敵なデザインの傘を自分用に購入しました。

すごく気に入っています。

傘だから当然量産品なのだけれど、一点ものじゃないからといってありがたみが減る訳ではなく。

デザインとか価格とか、ストーリーとか手触りとか、商品の情報はいろいろあるけど、大切に作られたモノには「言葉では説明できない何か」が宿っていて、それがじんわりにじみ出るっていうのがぼくとっては理想的だなって感じてます。

今月も最後までお付き合いいただきありがとうございました。

みなさまにとって素敵な11月でありますように!
では。

北欧のデザイナーさんとのコラボ商品らしいです。
大切につかいたい一本。
飲みに行くときには絶対持っていきません。

月刊OLN 202年10月号

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