月刊OLN 2021年7月号

みなさんこんにちは。いかがお過ごしでしょうか。

こちらはといえば、久しぶりにやらかしました。
さきにオチだけ言っておきます。
羽田と成田を間違えました。
信じられないと思いますけど、本当にこういうことってあるんですね。

ちゃんと説明すると大変なので、箇条書きでバーッと簡潔にいきます。

・前日にグーグルマップで羽田空港までを調べたら車で1時間50分。意外と近いじゃん。

・万が一のことを考えて朝5時前、かなり早めに自宅を出発。フライトは9時半ごろ。

・ナビを入力して出発。

・葛西あたりで「Narita」の案内標識を目にする。おかしいな。羽田はまだかな?

・ディズニーランドを通り過ぎたあたりで、心のザワザワが最高潮へ。

・船橋(?かすかな記憶)あたりの出口で高速を降りて、スマホで確認。

・朝、ナビに入力する時、羽田と成田を間違えたことが分かる。

・ナビを入れ直して再出発。

・とっくに9時を過ぎて羽田空港が見えてきた。

・早くトイレに行きたい。

・この時点でなんとなく「乗れない気がしている」。

・もはや飛行機のチケット代よりも、トイレに行きたい。

・しかし空港の駐車場への入り方が分からず4周ぐらいグルグル回ってしまう。

・なんとか駐車して、荷物を持たずにトイレへGo!!!!!!

・改めてスマホでフライト時間を確認すると9時15分出発。ただいま9時35分。チーン。

・しのさんに報告。最初は驚いていたが、怒りを抑えて穏やかに話している様子が伝わる。帰ってからがこわい。

以上。

結局、長い説明でスミマセン。

最終的にはもう一枚、別の航空券を買って博多に行きました。
痛い出費とか、そういうことはもう考えないことにしました。
元気に生きていればいつか挽回できるでしょう。
悟りの境地です。

ちなみにその日の夜。
予約したホテルでチェックインしようとしたらアプリでの予約がまだ完了してなかったというオマケもつくんですけど、それはまた別のお話。(しませんけど)

帰りはJAL。たぶん初JAL。
空港はもちろんガラガラでした。

6月の報告「つくり手の輪」6/21~27 @アクロス福岡

オルンとしては「定期的に新しいことにチャレンジしよう」って常々思っています。
「周りからみたら些細なこと」だとか、「そんなの別に新しくないよ」とか、関係ありません。
あくまでも「自分たちにとって」という基準です。
慣れないことをすると、経験値の増え方がすごいなって思っていて。

その積み重ねで、できっこないことをちょっとずつ減らしていって、自分たちの可能性を広げていこうと。

大きなイベントやが中止になったり、いろんな行動に制限がある今年。
そんな中で個人的には今年のチャレンジのひとつだと考えていたのが「つくりての輪」です。
・一人で飛行機出張。
・初の博多。
・接客に慣れているしのさんではなく、ぼくが担当。
この項目、全てがチャレンジです。
とはいえ、黒木織物の黒木さんにはおんぶに抱っこ状態でしたけど。

とはいえさすがに一週間は無理なので週末の金~日の3日間だけの在廊。

匠ギャラリーという、立派な会場。
黒木織物の黒木社長。アイデアと行動力がすごいです。
むかし2次会で入った中華屋さんで、紹興酒をビールジョッキで飲んでいたのが衝撃的。
左が三勝の天野社長。4代目半七。3代目の頃からオルンは何かとお世話になってます。
右は三勝のシルクウールを選びに来ていた博多織りの作家、宮嶋さん。

結果としては、チャレンジ項目それぞれどうにか頑張れました、って感じです。
もちろん上々とまでは行きませんでしたが、それでも収穫は多かったし、なにより、あんなに苦手だった接客がなんとかなった所が自画自賛ポイントです。よくやったと思います。我ながら。

普段オルンショップでやってきたことの成果が出たのかもしれません。

もちろん商品の力も上がってきたことも実感しています。
実際、最初に売れたのは新作のエンコトンでしたし。

ところで、

OLNの帯はちょっと一般的ではないかもしれません。
自分たちはその事をもちろん理解しています。
もちろんあえてそうしています。

志としては、すでに売れている商品をなぞる行為をしたくない。
でも奇をてらいた訳ではない。

新鮮さと普遍性のバランス。
最近なんとなく言語化できた感覚です。

そしてあくまで自分たちが欲しいと思える織物になるまで工夫を重ね、自分たちで払う感覚も加味して価格を付けています。
ぼくたちにとっての「普通」「リアル」「今を生きる」という感覚で行動しています。

なので、呉服業界に精通しているベテランの人たちにとっては、ぼくたちの作る織物、帯の意味がよく分からないかもしれません。
以前はたまに聞かれました。「これのどこがすごいの?」と。
聞かれるたびに「なんにもすごくないです。普通ですよ。」って答えてました。

最近は、展示会でもそういう方々は近づいてすら来なくなりました。

逆に分かる人にはすぐに伝わるってことも近頃は理解しています。
「この感じがいいんですよね!」と。

今回購入していただいた方々もそう思ってくれたみたいです。
オルンの織物は年齢、性別は関係なく、あくまで着る人とぼくたちの世界観が合えば縁があるし、お互いに幸せになれます。(なのでこちらから無理に勧めることもありません。)

糸使いとか、織り方とか、織物のコンセプトとか、微妙な色味とか、あくまで自分たちで決めたルールに対してのみ忠実に、誠実に(もちろん市場のことは考慮してます)作っています。
でもきっと、着物を着ることが楽しくなる帯だと自信を持って言えます。

そしてオルンの織物づくりは、作り手、伝え手、使い手が、みんなで一緒に少しずつ豊かになれるための仕組みでもあります。

右側にいるのが田中えり子さん。通称「たなえり」さん。
博多の着物好きで知らない人はいないわよ、ってお客さんに教えてもらいました。

ちなみに今回の博多。
こういう状況だったので集客は簡単ではありませんでした。
が、着付け講座を開いてくれた「多奈ゑりきもの教室」の田中えり子さんのおかげで本当に助かりました。さすがです!

ちなみにOLNの帯をすでに持っている方や、しのさんのインスタ画像で気になっていたから実物を一度見てみたかったという方、OLNの存在は知らないけど帯は持ってますっていう人だったりが福岡県に何名かいたってことが驚きでした。
すごくないですか?
ぼくはすごいと思います。はい。もう自画自賛ですね。これも。

あと博多の人たちは優しかったです。
会場自体がこういうものに興味のある人が来る場所っていうのもありますよね。
だから接客があまり緊張せずに楽しくできたのかもしれません。

なんでも慣れだなあと思います。
自分の子供にも最近よく言ってます。

だいたいそのうち慣れるから、って。
そんなに心配すんなって。

まあ、本当に少しずつ少しずつですね。

アクロス福岡

ところでアクロス福岡という施設。
個人的にはこのビルを生で見ることも今回の楽しみでした。

というのも。
先月伊香保のやまのはさんで購入した文庫本「ひとの居場所をつくる ~ランドスケープ・デザイナー 田瀬理夫さんの話をつうじて~」の中身でも話題の中心におかれていて、すごく気になってました。

そもそもタイトルが気になります。

田瀬さんという方は世代も、仕事のジャンルもぼくとは全く違いますが、共感できることもとても多くて。

ぼくは今、個人的に保守的な人と進歩的な人との関係についてよく考えています。
保守(と言われる人)とリベラル(と言われる人)。
寛容な人たちと革命家。
原住民と移民側。
それは自然環境とコンクリートとか、伝統と革新とか、いろんなことに共通するんですけど。

どちらの立場をとるかではなく、相手を排除せず、敵対もせず、互いに共存できる方法を見つけることが正解なんじゃないかなって、最近はそう思っています。

雑多性。多様性。
あえて不便を残す。
効率を信用しない。
あえて時間をかける。
専門家の重要性。

この本にはいろんなヒントが沢山書いてあって。
例えるならば、近所に引っ越してきたおじさんと喋ってみたら、人間性が素晴らしく、知識も豊富な人で刺激的。めっちゃラッキー、みたいな感じです。

でも一回話を聞いただけでは頭に入ってこないので、これから先、何回か繰り返し読みたい本です。

で、ランドスケープ・デザイナーとしての田瀬さんが手がけたものの中でも印象的なものの1つとしてアクロス福岡が出てきます。

完成してすぐ。公園から眺めた写真。
こういう巨大なビルに雑木林のもとになるような植樹をして、数十年かけて多種多様な植物が育つように設計。
特筆すべきは水やりの仕組みはつくらず、雨水だけで育つようにしているところ。
2020年5月に本が出版された頃。
これが2021年現在の姿。ほぼ山です。
田瀬さんは定期的に確認に来ているらしいです。
横からみるとこんな感じ。

自然とコンクリート、人間と動物。そういう境界線を白黒はっきりつけずに、あいまいなグラデーションで共存する方が健康的じゃないだろうかと言っていた(個人的解釈)田瀬さん。

ちなみにアクロス福岡だけでなく、博多の街路樹は幹や枝が自由にモリモリしていたのも印象的です。

人間が木を制圧していない感じで。

ちなみにこの本の解説はミュージシャンの寺尾紗穂さん。
オルンショップでは毎日彼女の音楽が流れているので、この本が運命のように感じます。

話はもどって。

伝統的な博多帯を作りつつも、奇抜なデザインも得意とする黒木さん。
業界内でも有名な老舗浴衣メーカーでありながら、アパレル事業も展開する三勝さん。
小さい規模で独自の世界観でものづくりを続けるオルン。
それぞれまったく違うものづくり。
会社の規模もみごとにバラバラ。

こういう混在感。
それぞれの樹木の個性が確立されているからこそ、遠くから見た時に森になるんだよなって思いました。はい。

7月の予定 二ッポンID 新宿髙島屋1F OLNの参加は3週目 7/14~20

今年も新宿高島屋さんでイベントです。
(昨年は「桐生の3つの手仕事店」コンポジションさん、桐染さん、とでした。)
今年は呉服の展示会などでご一緒する機会が多い方々との合同イベントです。

(ちなみにぼくが言うところの「呉服」は成人式で着る振袖、結婚式で着る「留袖」「訪問着」とかフォーマル感のあるものではなく、カジュアルな雰囲気のものです。)

「ニッポンID」
日本のモノづくりから気づく美意識
6月30日(水)~7月20日(火) 3weeks
新宿髙島屋1階 ザ・メインスクエア

*各ブランドの出店予定日*

■6月30日(水)→7月20日(火)
Torie(トリエ)
coten(コテン)

■6月30日(水)→7月6日(火)
Shi bun no San
afriacn Arts&Crafts SOLOLA
きもの遊結
ハルキモノコモノ

■7月7日(水)→7月13日(火)
月之
Rumi Rock

■7月14日(水)→7月20日(火)
OLN(オルン)
木ノ花(コノハナ)
MIZUHO
itsuka glass works
T.O.D
TORANOSUKE

結構すごいと思います。このラインナップ。
OLNが参加する3週目はほっこり系が多いですね。

ぜひ東京の方は足をお運びください。
※お会いできる方はメールとかDMとかで連絡をもらえると嬉しいです。シフトでいない時もあるかもしれないので。

遠方の方はまた別の機会で宜しくお願い致します。

おわりに

4月に開催した「菱屋×OLNのオーダー会」。
ついに商品が届きました。

もうすでに3名さまが受け取りに来てくれました。
あと東京に郵送した方もいます。

皆さんに手渡せるのが本当に楽しみです。
出来上がってみると、どれもご本人らしいデザイン。

オーダー会の受注分とは別にさらに数点仕入れているので、それもショップでご覧ください。

OLNの鼻緒、菱屋の台。
ビブラムソールのvibram社はイタリアのアウトドアソールブランド。
軽くて丈夫。

本当は昨日のうちに発行予定だった月刊オルンですが、本日7月3日土曜日ようやく出来上がりです。
今月も長々とお付き合いいただきまして誠にありがとうございます。

みなさんにとって素敵な7月になりますように願っています。

それではまた。

月刊OLN2021年 6月号

月刊OLN2021年8月号

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