月刊OLN202 0年5月号

こんにちは!
みなさんいかがお過ごしでしょうか?
この一か月で世界の状況は目まぐるしく変化(主に悪化ですけど)しました。

人生、「自分だけは大丈夫」とか思っていても、いろんなことが次から次へと起きるもんです。

日常生活、いろんなことが起きます。
高齢者が多い我が家にもいろんなことが起きています。
年を取ればそりゃいろんなことがあるんです。
いろんなことって何ですかね。
言えることもあれば、言えないこともあります。そりゃ。
ちなみに井上家はぼくの両親、しのさんのお母さん、この高齢者3人を働く世代2人で支えるという現代日本の構図そのままです。
といっても高齢者3人からの支えもずいぶん大きいのですが。
それもある意味、縮図。 苦笑

数年前は祖母の介護で母が大変でしたが、こういうのは順番なんですね。
自分だけは大丈夫、とかはないです。
若いころ、都会でひとり暮らしをしていた時には考えたこともありませんでしたけど、けっこう大切な部分な気がします。
弱肉強食の論理では日々の暮らしは成立しません。

さて一方、こどもたち。
小学校はずっとお休みです。
今年入学した長女は最初の一週間、午前中だけ通ってそのまま休校になってしまいました。
もう自主勉用の宿題も終わってしまい、ながーい春休みが続いています。
自営業の共働きゆえ、なかなか勉強につきあってあげられなくてゴメン!
他の家庭ではどうしてるんだろ。
長女は学校で友達と遊びたい、ということと同じくらい給食が楽しみらしく「はやく給食、食べてみたいなあ」と可愛いことを言っています。
そうだよね。給食みんなと食べたいよね。
親としては切なくもあります。

そもそも給食に関心が強いのは長男の影響です。
5年生の彼は「学校は行きたくないけど、学校給食は最高!」というスタンスです。
学校でいやなことがあっても給食の話題だけは楽しそうに話してくれます。
その結果「俺はうどんの早食いに関しては学年でトップだと思う。」という謎の自信を身に付けてくれました。
それで十分いいと思います。
ちなみに彼は宿題をやったあと(自己申告)、毎日友達とオンラインで遊んでます。
いわゆる任天堂スイッチです。
そういうわけで、彼にとっては今の生活リズムは最高らしいです。
不満は一切なし。
完全に適応してます。お見事!
(でも学校に提出するはずの日記、4月22日で止まってるのお父さん知ってるんだぞ。)

しかも。
長男君の誕生日はゴールデンウィーク中にあるのですが、例年であればどこかの呉服売り場で販売の応援に出ているため、家で一緒にお祝いすることがここ数年できませんでした。
今年は東京キモノショーに参加予定でしたが、それが中止となったため久しぶりに桐生で誕生日を家族全員で祝えることになりました。

長男「仕事と子供、どっちが大切なんだよ!」
父「もちろん子供っす!すんません!」
という本気とジョークとが半々のやりとりも今年はやらずに済みそうです。
念のため補足しますが、ぼくたち家族の仲はいいです。とても。ご心配なく。

暇をもてあそぶ長女作。
家族それぞれの顔をよく書いてくれてます。
そういう彼女の絵、けっこう好きです。
ちなみに「きよなが」とはじいじのことです。

みなさんお仕事どうしてますか?

ぼくはオンライン上で他産地の機屋さんたちと同士で励まし合ったりもしてます。
動画配信を始める事業者も増えていき、これが今後のスタンダードになっちゃうのかもしれません。
FBで着物姿をアップするイベントもありますが、ぼくはそういうのが結構苦手で(恥ずかしいので)お誘いに気づかないフリをしています。自分の写真でアピールとか本当ムリっす。
そういうところ大人になれないっす。
ところが一昨日、自分のタイムライン(ていうんですかね。)をたまたま見たらしっかりと二人の方からタグ付けされて、まるでぼくの投稿のようになっていました。その着物姿のアレが。
さすがにこれは気づかないフリにも無理があるかなと一瞬思ったのですが、もうしばらくのあいだ、気づかないことにしておきます。
そういう訳でひとつよろしくお願い申し上げます。

OLNのリーフレットができました

今月の月刊OLN、ここでようやくお仕事の話です。笑

OLNリーフレット

小さな正方形でパタパタと開いたり、閉じたりできる素敵な冊子ができました。
どっちが表紙でどっちが裏表紙、ということでもなく両A面みたいなイメージでぼくたち二人がそれぞれの表紙になっています。
さっきは自分の写真が恥ずかしいとか言っておきながら、思いっきり出てます。
これはもちろんOLNを伝えるためのお仕事なので、そういう時はしっかりと気持ちを切り替えてやってます。

大人ですから。

もっともこのアイデアはぼくたちが考えたのではなく、今回お仕事を依頼したグラフィックデザイナーの平本ゆりさんの提案でした。
平本さんは桐生出身の若き才女で、東京の某有名グラフィックデザイン会社で活躍された後、半分東京、半分桐生の生活をしながらお仕事をされています。
平本さんのご実家は桐生の染屋さんで、現在もご両親がバリバリの現役で糸や反物を染めています。その技術の継承を目指し、平本さんは数年前に「桐染(きりせん)」というブランドを立ち上げました。
OLNと桐染、昨年から少しずつお仕事を一緒にすることがあり、彼女のグラフィックデザイナーとしてのセンスや技量はもちろんなのですが、繊維関係の自営業の厳しさを理解した上でのブランド活動の展開にぼくたちも強く共感するところがありました。

OLNのグラフィック的なものは今まですべてぼくが素人アイデアで自作を続けてきました。DIYです。しかし今回は、OLNの新たなスタートとしての冊子を作りたいという思いもあり、その道のプロにお願いしたのです。

平本さんはメインのビジュアルはぼくたち自身がいいと言ってくれました。ぼくたちもあくまで正直に、等身大の姿で受け入れてもらいたかったのでその案に乗ることとなったのです。

もしかしたらぼくたちもそうすべきだと、はじめから思っていたのかも知れません。でもそんな恥ずかしいこと、とモジモジしているおじさんの背中を平本さんが押してくれた気がします。

世の中が少し落ち着いて、もう少し外出ができるようになったら、このリーフレットを置いて下さるお店の方々にお願いに行きたいなと思っています。
その時は、どうぞよろしくお願いします。

本当は今年の夏、OLN、桐染、そしてcom+positionさんの3ブランドで夏物の合同展を行うつもりなのですが、それはどうなるんでしょうか!?
場所は 新宿髙島屋さん2F。東急ハンズさんの隣、入り口すぐ。6月24日~30日。あくまで予定!

オルンの「マスク」

SNSでは報告しましたがオルンもマスクを作りました。
(ホームページにメニューがあるのですが、そこの「online shop」から購入できます。)
その結果、本当に多くの皆さんから励まされる日々になりました。
これまでOLNの織物を買ってくれた方々。
地元の方々、遠方の方々。
マスクもお付き合いいただきありがとうございました!

気になっていたけど、今まできっかけがなかったという方々。
マスクをきっかけにぼくたちのことを知っていただいた方々。
このたびは本当にありがとうござます!

3月頃、井清織物に備蓄していた不織布マスクはまだ数多く残っていて、世間のマスク不足はそれほど気にしていませんでした。そもそもぼくたちの仕事はあまり人に会うことがないので使用量が少ないのも理由ですけど。

しかし、だんだんとその数が減るにつれ、皆さんと同様にマスクがないという危機感が強くなり、予定されていた仕事のイベントも次々と中止が決まり、そんな不安な気持ちの中、オルンのマスクを作ることとなりました。

しのさんは余り生地で作ったマスクを身近な人にあげていて、今回はそれをベースに改良を重ねてオルンらしいマスクを完成させてくれました。

現在販売しているのはさらに進化した2代目です。

実際に使用してみて、気に入ってもらえて、そうやってリピーターになっていただける方がいるのですが、しのさんはそれが本当に嬉しいらしいです。なんというか、工夫して、さらに工夫して作ったものが気に入ってもらえる。本当に役に立っているんだという実感なんだと思います。
※裁断、縫製の一連を教えてもらいましたが結構考えられてます。見事に。
※こういう状況の時はしのさんがボスで、ぼくはアシスタントです。
※「ミシンで縫う」以外のことは手伝ってます。一応。

なんか評判が良かったです。この写真。
ちなみに紋紙に隠れているぼくの右手はスマホのリモコンを持ってます。

「日々の暮らしを織物で彩る」

ウイルスに対してのマスク、そういうものをオルンで作るべきか判断に悩んだ時もありました。実は。
でも、やってみてよかったです。
マスクを作ってみてOLNのテーマ 「日々の暮らしを織物で彩る」 をあらためて噛みしめることになりました。

「帯屋を辞めてストール屋かい?」
OLNを初めてしばらくの間、同業の方々からそうやって茶化されたとき、ぼくは心の中でこう思っていました。
「織物業を続けていれば帯は織れる。帯を織るためにも機屋として生き残ろう」

人間生きていればなんとかなることが結構あると思います。
心と体がそこそこ元気だったらなんとかなると思っています。

あと、こんな言葉もよくお聞きします。
「帯なんて贅沢品だから余裕のある人がいなくなったらこの商売、終わり。」

え?
言いたいことは分かるんですけど、なんか違う気がするんですよね。
だって、あれだけ必死になって身に付けた技術っすよ。
そんな簡単に諦められないっすよ。
もうちょっと粘りたいっすよ。

だからぼくはOLNで、帯を織る技術を用いて帯以外のものにもずっと挑戦してきました。
我々帯屋の織物技術はみなさんの暮らしを豊かにできるんですよ。ということを証明したくて。

そのためにはとにかく織物業を続けることだけに集中しようと覚悟を決めた時があります。これは夫婦二人だけの家族会議でした。
ぼくたちがOLNでやろうとしている仕事の仕方、考え方は従来の産地の仕事の流儀とは微妙に違う気がします。この世界観に共感してくれる人たちとつながるためには、ぼくたちも変わる必要がありました。そのために、できるだけ心の純度を高く保とうと決めました。
その時ぼくたちは帯でもなく、呉服業界でもなく、もちろんファッションビジネスでもなく、単純に織物に対してのみ誠実であろうと決めたんです。

そして業界の都合や経済の都合を最優先するのではなく、作り手も使い手も共に豊かになれる、誇りを持てる織物を生み出そうと。
そんな思いを言葉に託してOLNのテーマにしました。
「日々の暮らしを織物で彩る」

今回、マスクのおかげでそのテーマがちょっとずつ達成されている実感を得ています。

おっと。
…ちょっと熱くなってしまいました。
もちろんシラフです。
あ、それと平熱です。

おわりに

さてさてコロナです。
日本は当初、他の国々の状況と比較して約2ヶ月くらい対策を講じるための猶予があるといわれていました。
でもいざ本番となった今になって、あれやこれやと指摘されていた危機管理はほとんど手を付けていなかったことが分かりました。
庶民の我々には、もうズッコケる余裕もありません。

もっとも「お前は自分の会社をしっかりやっているのか!」と聞かれると全然自信ないです。だから聞かないでください。ズッコケて怪我します。
そんな感じで、ついつい自分のことは棚に上げがちです。ワタクシ。
そのせいで、しのさんからは昔「棚上げ君」と呼ばれてました。

それではお別れの時間です。
みなさんの暮らしに少しでも穏やかさと笑いが増えますように。
ぼくもやれることでがんばります。
いっしょにがんばりましょう。

皆さんにとって素敵な5月となることを願ってます!

20200502 sakura
元旦に合わせて開花した桜の枝。
枝だけでもきれいだな、と花瓶にいれたままついに5月を迎えました。
もうそろそろ枯れる頃なんだろうな、と期待もせずにずいぶん一緒に暮らしてましたが、力強い葉っぱが出てきてびっくり。
この生命力に驚いています。
ショップの観葉植物
OLN shopがオープンするとき、わびさびやさんからいただいた観葉植物。
静かな存在ですが、きちんと成長をし続けています。
赤い葉っぱは新しい命。

しのさん着物月刊OLN2020年4月号

月刊OLN 2020年6月号

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