みなさんこんにちは。
いかがお過ごしでしょうか。
こちらは案外元気にやっております。
もちろん梅雨明け以来の猛暑は厳しく、クーラーのない織物工場はなかなかハードな状況なのですが、なぜか今年は夏バテすることもなく毎日頑張れてます。
昔から夏になるとぐったりしていたぼくですが、今年の好調さを考えてみました。
・睡眠の質を上げるようにした。
・暴飲暴食(暴酒も)をしていない。
・日中は短パンと機能性Tシャツで仕事をするようになった。
・クーラーのない工場に、巨大サーキュレーターで北側の比較的涼しい空気を送り込んでいる。
(工場上部の換気扇はもちろん稼働)
・工場にいる間は首掛けの充電式ファンで顔に微風を当て続けている。
こうやって書きながら一個大事なことを思い出しました。
最近錠剤のヘパリーゼを飲んでるんですけど、そのおかげかもしれません。
ああ、そうだ。
きっと。
どうにも体が重くて7月から飲み始めたんでした。
近所のマツキヨで見つけて。
なので、今年の夏を乗り切れそうな理由は、いくつかの工夫とヘパリーゼですね。
きっと。
あ、それと今年は朝晩ちゃんと気温が下がっている気がします。
そう思いませんか?
こんなの子供の頃以来感じてなかった気も。
もしかして都心の活動が抑え気味だから、その影響でヒートアイランド現象(?)が弱まって、埼玉とか群馬とかそっちに熱風が来なくなって…。
一人で勝手にそんな予想をしています。
ちなみに昨年奮発して購入したワークマンのファン付きベストですけど、まだ今年は活用してません。
もちろん使おうと思ったんですけど、
ベストと充電池はあるのに、肝心なファンが見つからなくて…。
たぶん来年の夏までには見つかることでしょう。
今回の月刊オルンは7月の髙島屋イベントのこと、今後の予定、でもその前に最近よく感じているあることについての雑文です。
ーーーーーーー
今年の夏はいつもより多くの時間を、色んな織機の前で過ごしています。
というのも職人のウエ子さんが目の手術をしたため、しばらくお休みをしているからです。
なので通常であればウエ子さんが織っていた帯も今回はぼくが織ったり、しのさんや父が織ったりしています。
「この織物は誰々の担当」というのがある訳ではないですけど、
できるだけウエ子さんの仕事が途切れないようにと段取りしているので、今回のようにウエ子さんの不在時は井上家の3人で対応しています。
それで先日、「en coton(エンコトン)」という綿100%の半巾帯をウエ子さんの代わりにしのさんが織っていたのですが、今度はしのさんが縫製で忙しくなったのでぼくが続きを織ることにしました。
実際に自分で量産分を製織していると、改めて色んなことに気付かされます。
実はその帯、以前からウエ子さんやしのさんに指摘されていた製織中の不具合がありました。
でも修理・調整係のぼくも忙しかったので後回しにさせてもらってました。
二人には悪いけど、ちょっと手間を増やせばなんとかなる程度の不具合だったので。
ところが、いざ自分で織ってみると、そのちょっとの手間が実に面倒臭くて。(笑)
こんなに面倒なことを今までお願いしてたのかと反省しました。
で、じっくりとその不具合に向き合うことにしました。
これまでも何度か挑戦したけど解決できなかった不具合、というか課題です。
納期に追われていないタイミングだったので腹をくくって向き合えます。
シャトルの調整かな?
ヨコ糸に工夫が必要かな?
杼箱に入れる順番かな?
そうやって、いろいろと仮説を立ててしらみつぶしに試していくんですけど、もちろん簡単には解決しません。
でも今回はiphoneのスロー撮影が解決のヒントを見つけてくれました。
結果としては、まさかまさかの解決法でした。
詳しくは言えないんですけど、他の織物の時には欠かせない小道具による工夫が、
今回は逆に邪魔をしていたのです。
目から鱗です。
こういうことがあるんだなって。
おかげでその帯を織るのがすごく楽になりました。
そんな「en coton」、はい、絶賛好評発売中です。
今回は頼れるウエ子さんが不在のおかげで新たな発見と出会えた訳です。
ウエ子さんがいたらいつものように「ちょっと手間がかかるけどよろしくね。」とお願いして済ませていたかもしれません。
そこで気付いたんです。
頼れるものがない時に案外いろんな成長ができるなって。
いろんな工程の職人さんが次々と辞めていくから、なんとかその技術を覚えたり、別の解決方法を探ったり。
あるいは技術を持っている人を新たに探してみたり。
または。
ロットが少なくて受けてもらえないから、指示が細かくて迷惑をかけるから、単純に資金に余裕がないから自分でやるしか他に道がないなど、理由はさまざまですけど、その都度「これからも継続できるやり方」を見つけてきました。
しのさんが本格的に織るようになれたのも、かつて井清の織り子として働いてくれていた幸子さん(現在は退職)が体調を崩した時の代役でした。
もう10年以上前の話です。
おかげで今では自分でデザインして、その素材の手配からサンプル作成、その修正まで
一気通貫、一人でやっています。
そうやって自分の技術や視野を広げてきたんですね。
ぼくたちって。
そういう意味では6月の博多はぼくにとって経験と成長が山盛りでした。
接客が得意なしのさんに頼らずに頑張ったとか。
人生で初めて自分で飛行機のチケットを取ったとか。
(よーーーく考えてみたら今まで自分でチケットの手配をしたことがなかったのです!
初めて海外旅行のアジア一人旅はHISの窓口で。
前職での海外取材はそういうのが得意な同僚に頼り。
新婚旅行はしのさんに任せて…。
お恥ずかしい限りです。)
4月、初めてOLN shopで企画した履き物のオーダー会もいろんな経験をしました。
そもそも今OLNとして今挑戦していることって、全部そういうことなのかもしれません。
自分たちで考えた織物を自分たちで織って、それを直接小売屋さんに卸したり、自分たちで販売したり、自分たち自身のPRをしたり。
どれも今まで誰かに頼っていたこと、でももう頼れる人がいなくなることを自分たちでやってみる、そういうことです。
結局、そういうことの全部が、ぼくたちが目指している「小さくとも自立した織物業」へと続く道なんじゃないかなって思ってます。
「新宿髙島屋 ニッポンID」
まずはご来場いただいたお客様、そしてトリエさん、コテンさんを初めとする各ブランドの皆さま、
髙島屋さん、ありがとうございました。
インスタの個人アカウント(oln_yoshi)でも報告させていただきましたが、昨年のイベントから約一年、自分たちの成長を感じることができました。
すでにOLNのアイテムを持っている方が何人も会場に訪れてくれました。
正直、驚きました。
昨年の新宿イベントの時にhecco(大人のためのへこ帯シリーズ)を購入して、「着物と合わせやすくて締めやすかったから」と別の柄を買いに来てくれた方もいました。
インスタで気になっていた帯の実物が見たいと言って来てくれた方もいました。
いろんな形でOLNという織物ブランドが少しずつ浸透してきたことを実感させてもらいました。
ありがたいことに新たな出会いにも恵まれました。
とは言え、まだまだ課題も多く、売上などの数字だけを見たら鼻で笑う人もいるかと思います。
もっと上を目指せよ、と。
分かります。はい。
しかし、過去の自分たちの状況と比較したとき、やっぱりちょっとした成長で結構喜んじゃいます。
なんでしょう、幸せのハードルが低いのかもしれません。
他の人たちにとっては当たり前のことでも、ぼくたちにとってはそれが目標だったりします。
普通で十分OK。
すごくありがたいです。
だからもう頑張らないって、ってことではないです。
もちちろん。
ただ、なかなか思うような状況にならなかった時期が長いので、ささやかなことでも喜べちゃったりします。
これは強みでもあるかなって気もしてます。
ハングリー精神というか、足るを知ってる、というか。
OLNのコンセプトとして、「普通」とか「日常」とか、そういうキーワードがあるんですけど、それは普通とか日常とかが、決して当たり前ではないんだっていう経験を何度もしてきたからです。
流行とかブームとか瞬間的な爆発力よりも、そういうことを上回るほどの静かで確かな価値観みたいものをずっと大切にしてます。
で、そういうイメージを織物で表現できたらいいなあってずっと考えてます。
「今後の予定」
8月は2~5日まで井清織物とオルンショップはお休みを頂きます。
9日(山の日)は営業しています。
8月も第一、第三土曜日はオープンしてます。
8月31日~9月2日は京都でキモノショーケースという合同展示会に参加しています。
BtoB、小売屋さん向けの展示会です。
今回は新作の八寸とか秋冬用のショールとか考えてるんですけど、予定より大分遅れているので焦ってます。(笑)
会場は枡屋儀兵衛さんのビルの2Fです。
お待ちしております!
ーーーーーーーーーーー
これから夏本番です。
今年は一体どんな夏になるんでしょうか。
もう予想すらできませんね。
なにはともあれ、健康第一。
夏が好きな方も、苦手な方も、くれぐれもご自愛下さいませ。
お互い元気にお会いできる日を楽しみにしております。
それではみなさまにとって素敵な8月になりますように!
では。