月刊OLN2023年4月号

たいへん無沙汰しております。

いかがお過ごしでしょうか?

ちょっと期間が空いてしまいまして。
失礼いたしました。

たまたま納期ものが続いていて、ひたすら工場での作業に集中しておりまして。はい。

そんなわけで家族、縫製チーム、お世話になっている各工程の職人さん、という織物づくりに必要な最小限の人たちの他には、ほぼ誰とも顔を合わこともなく毎日を乗り切っています。

それが退屈な日々の繰り返しなのかというと、全然そういう話ではなくて、いい意味での”緊張が続く日々”、となっています。

今いただいている仕事はどれもオルンならではの織物だし、ぼくらの仕事の考え方に共感してもらえた方たちからの依頼なので、やりがいもあって、ホントありがたい感じです。

で、時おりイベントに参加させてもらうタイミングで外出して、そこでは突然、大勢の人にお会いするという感じでこの数ヶ月間過ごしてきました。

と書いてみて、よく考えたらまだ3ヶ月とちょっとしか終わってないってことに今気がつきました。
体感的には、もう半年くらいずっと続いている気がしてましたが、案外大したことなかったですね。

キモノショーケース 京都 1月31日~2月2日

僕たちの仕事は工場で作った織物を、何かしらの方法で販売することで成立しています。

OLNの商品を全国の小売店さんに卸したり、一般ユーザーさんに直接販売したり、あるいは取引先さまのオリジナル商品をまとまった数量で受注生産したり。大まかに分けるとこれら3つの方法が現在の販売方法となっています。

この3つ方法は今の僕たちにとってどれも同じくらい重要に感じていますし、たぶんこれからも考えは変わらないんじゃないかなと思ってます。

で、キモノショーケース。特に京都ではこの数年で新規取引先が増えたこともあって、すごく重要な展示会です。

ちなみに京都で開かれている展示会ですが、オルンのブースに立ち寄って仕入れて頂いているのは京都の小売屋さんではなく、全国から集まっている各地方のお店ばかり、というのも面白いところです。

新規の方もいる一方、もう何年も僕たちの新作、定番を仕入れてくれる方々にお会いできるのもこういう展示会です。そしてぼくらの変遷、そしてゆっくりだけど成長している様子を一緒に喜んでくれる取引先さんに会える事もすごく励みになっています。

たまにしか顔を合わせないけど、温かい交流だったりして、どこか親戚付き合いのように感じることもあります。笑

ちなみに「キモノショーケース」という展示会はオフィストリエの寺本さんが独立後にブランドを立ち上げてすぐ、今から10年くらい前(たぶん)に立ち上げた展示会です。

その第一回目にぼくは産地のメーカーとして案内状を頂き、お邪魔させてもらいました。

ルミロックのルミさんやひでやさんとはその時に初めて挨拶をさせていただきました。

みなさんカッコ良かったです。まさしく雲の上の存在でした。

それぞれのブランドに個性やスタイルが明確に感じられていて、他社のマネとか、安売りとかではない、ちゃんとブランドとして発信していたことに感動やら希望を感じました。

こういう方々からお仕事を頂けるようになりたいな、と当時は目標にしていたような気がします。

それが10年後、紆余曲折がありまして、気づいたら同じ立場で展示会に同席させてもらえるようになっていました。

感慨深し。

ーーーーー

ちなみに。

ここ数年の出張は宿泊費が激安だったのですごく助かっていました

しかし今はもう、東京の宿泊施設の価格は、コロナ前の頃のようにだいぶ高くなってきたようです。

ところが京都はなぜかまだ安く、その点でも京都出張はなんだかいい気がしています。

道草「恋する布市」@タカオネ&高尾駒木野公園 2月19、20日

東京の西の方の繊維産地、八王子市。

そこにある高尾という登山で有名な街で開催されたクラフトイベントです。

八王子とは不思議な縁がありまして。

特に今回の発案者、奥田染工の奥田さんとはなんやかんやと長いお付き合いをさせて頂いてます。

奥田さんが東京在住のデザイナーさんたちを桐生に連れてきたときに、なぜか(というかシルッキ川上由綺さんの紹介で)ウチにも寄ってくれて、その日は一緒に居酒屋で皆さんと交流を深めました。

もっとも、その頃の僕は現実の厳しさを毎日味わっていた真っ只中で、本当にこの先、織物業で生活するなんてできるんだろうか?と不安を抱えながら必死に前に進んでいた時期で…。

もちろんそんな気持ちは悟られないようにと隠していましたが。笑

なので、今回「道草」のスタッフとしてもフル回転されていた橋本さん(八王子の姉さん的な存在)からは「あの頃と比べて、井上さん雰囲気が全然変わったねー!うん、楽しそう!」などど褒めていただいたりしまして。

久しぶりに会うとなにか変化や進化を感じてもらえているようで。

なんだか里帰りの感があったりもします。

そもそも、八王子は坂本呉服店さんもあるので、どこか第二の故郷のような、母校のような。はい。

そんなこんなで家族一同で参加したタカオネ。宿泊先も含めて大変楽しゅうございました。

改修工事、無事終了

納期に追われた1月2月。この慌ただしい最中に、昨年から始まった井清織物の改修工事もクライマックスを迎えました。

改修したのはこの3か所です。
・駐車場
・試着室兼ワークショップ室
・工場のトイレ

特に試着室は建築家のねぎしさんとも色々と相談しながらすごく素敵な部屋ができました。

漆喰を自分で塗ったり、サッシ窓を塗ったり、木部にワックスを塗ったり、チャコールグレーの畳を入れたり、DIYフル回転でした。

ぼくとしては自分で身の回りのことができるようになることが、仕事と同じくらいやりがいを感じていて、忙しくも充実感のある日々となっていました。

何かが出来上がっていく工程、それ自体にぼくは興味があるし、その時間に価値を感じています。

全部お任せで最高のモノができればもちろん最高。

でも、予算とか時間とかに制約があるなら、やっぱりアイデアと行動。

最初から完璧じゃなくても、失敗の経験も含めて経験を重ねて、最後はちゃんとそれなりにまとまれば全然オッケー、そんな風に考えています。

自分が求める美的なレベル、技術的なレベルと、実際にできることとの兼ね合いが問題となりますが、今のところは全然許容範囲のオッケーな感じで色々と進めてきました。

ねぎしさんもそういう施主の考えを尊重してくれるので、思い入れたっぷりの改修工事となりました。

今後は試着室兼ワークショップ用の部屋でのイベントなどもやる予定なのですが、今はちょっと製織作業で忙しいので、ちょっと後回しにしています。

そんな事情もあって、今のところ、縫製スタッフのネギちゃんのお昼休みの休憩室として活躍してくれています。

東京キモノショー 3月24~26日

昨年から会場が変わった東京キモノショーですが、今年は時期も5月から3月に変わって開催されました。

ちなみに会場となった綿商会館、数年前まで桐生織物協同組合の問屋さん向け展示会会場としてお世話になっていた施設です。

キモノショーとしては初めての会場でしたが、運営サイドとして汗をかいてくれているキモノ業界の方々、そして本当に献身的なボランティアスタッフの皆さんのおかげで楽しい3日間でした。

それにしても、実に多くのお客さんと会うことができました。

今回はオルンのブースを目指して来てくれた方(!)が何人もいまして、まずそこに驚きました。

そして嬉しかったです。

しかも、買ってくれたお客さんにお礼を言われたりして…。

いやいや、お礼を言いたいのはこちらです!って感じで心が満たされる思いでした。

あと「素敵な着物と帯の方だなー」って思ったらウチのgrain(八寸帯)だったりして。

我ながら素晴らしい織物作ってるなあ、って。

自画自賛できる仕事って素晴らしいです。笑

でもぼくは相変わらず人の顔を覚えるのが苦手でして、しかもマスクをしているのでさらに難しく。

もう、そういうことは全てしのさんにお任せしてます。はい。

きもののここち透佳「OLN展」4月7日~16日

静岡の透佳(とうか)さんで初めてオルン展が開催中です。

透佳さんとはもうかなり長いお付き合いで、ぼくらがオルンを始める前からウチの帯を扱ってくれています。

きもの業界、というか、時には社会とうまく馴染めていない節のあるぼくのような存在も暖かく見守ってくれ続けています。

なので、ぼくらの変遷をずっと見守ってくれている、そんな存在です。

そんな透佳さんでの初めてのオルン展です。

お近くの方はぜひ遊びに行ってみてください。

大和屋でゆかた展2023 4月14~22日

東京は神田にある大和屋は着物店さんで毎年開かれているゆかた展。

今年は丸久商店さんのご紹介でご一緒させて頂いております。

お近くの方はぜひぜひ。

おわりに

久方ぶりの月刊オルン、いかがでしたでしょうか。

結構期間を空けてしまいました。

冒頭でも言いましたが、単純に忙しい期間がたまたま続いているというだけで、他に深い理由もありません。

自分に甘いだけです。はい。

ただ、書くのが久しぶり過ぎて、ぼく自身、どういう感じで書いていたのかもう忘れちゃいまして、戸惑いました。(過去の文章は恥ずかしさもあって、基本的に読み返さないので。そもそも長いし。)

いろんな事情もあって、いかに空き時間で書けるかと考え、今回はスマホで書いてみました。

たしかに長文も、これでいけそうだなって感じています。

そんなこんなでまた来月お会いできたら嬉しいです。

素敵な4月をお過ごしください。

では。

月刊OLN 2023年1月号

月刊OLN2023年5月号

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